マンネリから脱皮できない取締役とその再活性化策とは?
SWOT分析、KPI管理、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
長年、経営顧問をしていると「取締役の機能不全」に遭遇します。
過去には何らかの貢献があり、それなりの評価があって、現在取締役になっています。
しかし、取締役も同じ仕事を長年続けていると、「勤続疲労」を起こし、「疲れた取締役」になり機能不全に陥ります。
それは悪影響そのものです。
なまじ権限があり、影響力もあるので、経営者も軽々に処遇を変える事はできません。
取締役自身が自己覚醒を起こして、モチベーションのエンジンをかけて貰うか、辞めるかしか選択肢がないのも事実。
しかし、なかなか自己覚醒は起きません。
それにはいろいろな理由があります。
1,経営者の期待に沿えないもどかしさ
多くの経営者は。常にチャレンジと自分への叱咤激励を行い、自己変革をします。
そうしない経営者は、会社をおかしくするだけですから。
その経営者の変革や挑戦に、取締役である自分自身がついていっていない事に焦燥感と諦め感が出てきます。
また、経営者からいろいろな期待が告げられますが、その言葉自体が苦痛に感じる事も。
長年染みついた慣習や固定概念を変える事ができない自分へのいら立ちから、時には「経営者のチャレンジングな方針に異を唱える」こともあります。
昔の自分なら「経営者と一緒にチャレンジ」していたけれど、そう今はエンジンが掛からない状態が続いているのです。
●頭では分かっていても変えられない自分
●何とか状況打開をしたいが、新たな挑戦に尻込みしたり、熱意が続かない自分
●何とか言い訳や持論を正当化して、他人から攻撃されないように自己防衛している自分
これは、取締役本人が一番分かっている事です。
特に50代、60代の取締役にはこの傾向が強くなります。
2,経営者との信頼感の瓦解
経営者との長年の信頼関係が、ある日突然ひびが入る事があります。
それは何かのミスをした事ではなく、「経営者が大事にしている価値観や倫理観に反した脇の甘い行動をしてしまった」などです。
日ごろなら絶対そういう行動は自制しているし、部下にも厳しく指導する立場の取締役です。
無意識にしてしまった行動で、後から「はっ!しまった」と思ったわけです。
そして、そういう価値観の相違を経営者から指摘されて、経営者と取締役自身に今までにない微妙な空気が流れます。
そこで、その後2つの選択肢があります。
一つは反省と謝罪をして、通常に戻る事です。
しかし、経営者が大事にしている価値観や倫理観を損ねた行動を犯してしまった事で、「もう修正できない。これは今までの経営者との関係が終焉を迎えつつある」
と妙な覚悟をしてしまう事です。
長年の信頼関係は深ければ深いほど、この信頼関係の瓦解はあっさりしたものです。
3,自分の存在が後進の重しに
そして自らが活性化しない事実、新たな事に挑戦する意欲とエネルギーが出てこないマインド・・・
部下から指摘されたりすれば、メンツをつぶされた思いや「上司に向かってその言葉は何だ」と職務権限や立場を使い、反発と報復の行動に出る事もあります。
しかし、長年取締役をしていれば、自分自身の貢献が昔ほどない事は分かっています。
またそのことが、後進の育成や部門改革の重しになっている事も、人に言われなくても分かっているのです。
その事でも取締役自身は何とかそのまま今の立場を守り、日常の仕事や自分がいなければできない仕事で存在感を示し続けるか、またここらが潮時と思って引き際と思うかに分かれるのです。
取締役として40代、50代前半とまだ年齢が若く、まだまだこの会社でやりたい事があれば再活性化も可能ですが、55歳を過ぎた当たりからこういうことが重なって、ぼちぼち引き際を考える事も増えてくるのです。
60歳を超えて、それなりの年収がある場合、今ここで辞めて今後の生活は成り立つかも大きな課題です。
「後進の育成の妨げと分かりつつ、自ら再活性化できないが、この立場と年収は維持したい」こんな取締役が圧倒的に多いのです。
それも困った話です。
4,配置転換で息吹を入れ替える
では取締役自身の再活性化に必要な事は何か?
それは新鮮な仕事環境を用意する事です。
先ほども言った通り、長年同じ仕事、同じ環境、同じ職場で幹部の延長戦上で「取締役」になった方がほとんど。
大企業のように、海外経験や子会社の社長経験なんて事は、中小零細企業には滅多にありません。
仕事内容や環境を変える「配置転換」が必要です。
しかも、島流しっぽい処遇だと、よりパフォーマンスが落ちるので、「戦略的要素の高い業務」や「経験ノウハウがない若手チームのヘッド」など、今までとは違う環境で再活性化するかどうかです。
今さら配置転換しても、再活性化しないケースが多いのも事実。
部門を変えたら、より働かなくなった事例もあります。
それはもうマインドが死んでいる状態です。
マインドが死んでしまえば、その会社での再活性化は難しいでしょう。
5,独立とグループ会社の中間の自立
今の会社が嫌いではないし、仕事も普通にできる、しかし心が動かない。
かと言って、完全独立には不安が残る。
そんな取締役の処遇方法として「グループとして独立支援」という手法があります。
取締役はその辞め方を間違えると、今の会社と敵対しドロドロ試合になることもしばしば。
また会社側も、長年の取締役とけんか別れしたとなれば、対外的にもマイナスのイメージです。
取締役自身も、会社時代の各種資源(顧客、業者、取引先)を使わず、一から仕事を立ち上げ投資や顧客開拓をし、経理業務も自分で行い、一定年収までもっていくのは大変だと分かっているはず。
そこで会社と仲違いした辞め方をせず、円満に今後も今までの仕事を自立する方法が「グループ内独立」という方法です。
例えば、営業なら今の顧客をそのまま担当し、請求業務はそのまま会社が担い、一定の手数料を会社に払い、後は自由にやる等。
またグループの別会社の社長として業務を行い、会社と取引契約をする場合もあります。
その場合は、出資比率や会社の社長を非常勤役員にいれたり、事前にルールも作ります。
ほとんど会社の統治や指示の影響を受けないが、対外的には同じグループの一員というイメージを持つ事です。
因みに、私がコンサルファームを辞めて、最初に立ち上げたコンサル事務所がこのカタチでした。
実質、経営者への不信感からのけんか別れですが、対外的なイメージを優先し、グループ内分社というカタチを取りました。
出資も受けず自前資金で分社しましたが、コンサルファームの経営者の関与が徐々に強まり、この分社の社長になりたいというスタッフに譲渡し、完全独立で現在の㈱RE-経営を設立しました。
自分の経験からも、当初は矛盾や感情的な問題があっても、地力をつけるまでは「グループ内独立」は悪い選択肢ではないと思います。
今後、多くの取締役が60代になり、今後の処遇が大事になります。
取締役が仕事ができるからといつまでも当てにして使っていると、病気などある日突然、仕事ができなくなることもあります。
その時、その取締役に依存していて結果、若手が育っていないと、組織維持も困難になります。
今の内からNEXTCabinetを育成する為、「ジュニアボード」の育成を仕組み化する事が重要な意思決定になります。
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