嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

これが認められる取締役の仕事だ

「高給取りのうちの役員って、いったい何をしているんですかね?」こんな中堅幹部の不満がどこでも聞かれます。役員(取締役)の仕事って、部下には見えにくいものです。しかし、組織も部下も役員に対して、明確な行動、戦略的な動きを求めています。これに答えられない役員は機能不全だと言えます。

特に、部課長時代まで優秀だった幹部が取締役になった途端に、「最近、かすんでいるね」と言われる事があります。それは、「自身の仕事」が見えていないからです。直接的な行動は社員が行うし、その管理やマネジメントは、部課長が行います。

では、取締役って何をすればいいんでしょうか?大企業の役員のようなものではなく、中小企業の実態に合った考え方です。

1、社員側でもなく、社長側でもなく、法人側に立つポジション

  1. 法人の使命、方針、業績を考えると、何が今必要かをベースに考える習慣を持つ
  2. 社員側の考えに偏る場合は、自身がまだサラリーマン意識だからである
  3. 社長の方針をそのまま、社員に伝えるだけでは、役員の 存在意義が薄くなる。それをいかに落とし込んだ表現にして、誤解をなくすかが役員の仕事
  4. 会社の問題をすぐ「組織論」のせいにせず、何が不足して いるか冷静に分析する(中小零細企業では、組織を多少 変えても結果は大きく変わらない場合が多い)

2、ただ、現場で一生懸命に働くだけではダメ

  1. 社員以上に一生懸命に現場で働き、社員の模範になることは大事 だが、一人で汗水流す事は決していいことではない
  2. 役員は現場実務をしながらも、自分は取締役であるという意識を持ち、常に原理原則・経営理念・方針に立ち返った判断をする(目の前の利益や楽に走らない)
  3. 業績、利益との兼ね合い、起こっている問題の本質など、社長の立場で自分なりに判断し、経営者と意見調整を行う

3、社員以上に現場・顧客重視の姿勢

  1. 何かあれば、いの一番に現場や客先に出向き、自分の眼で判断する (幹部任せにしない)
  2. 現地・現場・現品の3現主義が基本
  3. 顧客のニーズや真意を聞き出すのは役員の仕事
  4. 現場で働く従業員の労いを忘れず、常にアドバイスや提案を行う

4、判断に合理性のある根拠を示す事

  1. 取締役ともあろうものが、具体的な根拠を持たず、感覚論でいう対策は、皆からバ カにされる
  2. 問題点の原因追究もロジカルに行う(Whyロジック、How ロジックでいつも考える)
  3. 現実とギャップがある改善の対策が実行されるまでの、段 取りやプロセス(過程)を明示する
  4. 新たなビジネスプランの合理性が分かる資料を用意する

5、明確なビジョンを持ち、話す事

  1. 現状の忙しさに埋没せず、ネクストの時代の戦略・ビジネスプランを作成する
  2. ビジネスプランは抽象的なものではなく、その実現の可能性が他人からも分かるものである事
  3. 自分が責任者となって、そのビジネスプランを確実に進捗させている事
  4. それを、いつも社員に語る事

6、新たな戦略を是が非でも軌道に乗せる事

  1. 自身の決意を見せ、社員からの信頼を集める為にも、時間が掛っても必ず具現化する事
  2. 「あれは、A常務が基盤を作った」と後年言われる実績を残す
  3. 新商材、新顧客で、結果を出す
  4. 組織改革や制度づくりばかりに現を抜かすと、いつまでも結果が出ない

7、汚れ事処理こそ、役員の仕事

  1. 交渉が難しい相手からのクレーム処理、未収金回収の先頭に立つ
  2. コンプライアンス違反の処理、社内トラブルの処理は、担当部門長任せにせず、全面に出る

 

これらの事を、実際に業務に反映してこそ、「尊敬される役員」になっていくのです。

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