2026.1.30 生成AI時代にコンサルタントの価値を高める「深堀質問力」

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生成AIのレベルがどんどん高まり、それを使う経営者やコンサルタントも日に日に知識が増えています。

私も実際のコンサルティングの現場や研修セミナーで生成AIを多面的に使っていますが、生成AIを使えば使うほど、「コンサルタント本来の役割の重要性」を気づく機会が増えました。

それは「深堀質問」の重要性です。

実際の経営会議の場面ではどういう生成AIの使い方、深堀質問の仕方をすべきかご紹介します。

 

1,生成AIを使っても「感動しない」経営会議が生まれる理由


生成AIを経営会議に持ち込んでも、「なるほどですね」で終わってしまう場面を、私は何度も見てきました。

問題はAIの性能ではありません。

使い方を一歩間違えると、経営の核心には一切触れず、ただ“分かった気になる会議”を量産してしまうのです。

 

⑴情報収集型AI活用が経営会議を浅くする


「人手不足の解決策」「業界の成功事例」「DXのメリット」。

こうしたテーマを生成AIに投げれば、驚くほど整った回答が一瞬で返ってきます。

資料としては申し分ありません。

しかし、それをそのまま経営会議で読み上げても、場の空気はほとんど動きません。
ある製造業の経営会議で、AIが提示した「採用強化・省人化投資・外注活用」という模範解答を見た社長が、少し苛立ったように言いました。

「それは正しい。でも、うちの現場は本当に使えるのだろうか?1年前導入したロボットの稼働率は低いままだし」
この瞬間、その回答は“正しいが、何の役にも立たない情報”になります。

経営者が欲しいのは知識ではなく、自社の制約や現実を前提にした、腹をくくるための判断材料なのです。

 

⑵感動が生まれるのは「答え」ではなく「問い」


別の経営会議では、私は生成AIにあえて「答え」を出させませんでした。

代わりに、「経営者を追い込む質問」を出させたのです。
●「人手不足の影響が一番深刻なのは、どの工程ですか?」
●「そこが止まった場合、1日の生産数量がどれくらい減りますか?」
●「その工程を守るために、どの製品や顧客のニーズを後回しにする必要がありますか?」
質問を重ねるごとに、社長の言葉は少なくなり、会議室に沈黙が流れました。

そして、ぽつりと漏れたのが、「本当は、この製品はもう縮小すべきだと思っていた」という本音でした。
人は、正解を聞いても感動しません。

自分でも目を背けていた答えに、向き合わされた瞬間にだけ、心が動くのです。

 

2,生成AI時代だからこそ問われるコンサルタントの「人間力」


生成AIの進化によって、情報や分析は誰でも手に入る時代になりました。

だからこそ今、経営コンサルタントには、AIでは絶対に代替できない「聞く力」と「引き出す力」が、これまで以上に厳しく問われています。

 

⑴AIでは拾えない「沈黙」と「違和感」を読む力


ある二代目社長との面談で、生成AIは財務データをもとに「新規投資は可能」と結論づけました。

数字だけを見れば、確かにそうでした。しかし、社長の表情はどこか硬く、話し方も歯切れが悪い。
違和感を覚えて深掘りすると、原因は数字ではなく「先代との約束」でした。

先代社長が生前に口にした言葉が、無意識のブレーキになっていたのです。
生成AIは沈黙の理由を説明してくれません。

視線の揺れ、言い淀み、過去の発言との微妙なズレ。

そうした空気を感じ取り、言葉にして問い返すのは、人間であるコンサルタントの仕事です。
AIの分析に、人の観察と共感が重なった時、ようやく経営判断は動き出します。

 

⑵AI×コーチングで経営者の覚悟を引き出す


生成AIは、深堀質問を考えるための“補助輪”として使うと、驚くほど力を発揮します。
「この判断結果を成功させるには、これだけは外せない行動や組織はどうあるべきか?」
「成功確率を70%に引き上げるとしたら、何を捨てる覚悟が必要ですか?」
こうした問いをAIに生成させ、経営者の反応を見ながら一つずつ投げていく。

そして返ってきた答えを再びAIに渡し、次の問いをつくる。この往復が、経営者の思考を深く掘り下げます。
結果として経営者は、「考えさせられた」のではなく、「自分で決めた」という感覚を持つ。

この状態をつくれるかどうかが、コンサルタントの価値そのものです。

 

3,安易なAIコンサルに対する経営者の本音と警鐘


生成AIを使えば、見栄えの良い提案書は短時間で作れます。

しかし、その“軽さ”を経営者は驚くほど敏感に感じ取ります。

AIに頼り切ったコンサルティングへの不信感は、すでに現場で静かに広がっています。

 

⑴経営者は「AIっぽさ」にすぐ気づく


「最近のコンサル、どこも同じことを言うんだよね」
これは、実際に経営者から何度も聞いた言葉です。

その裏には、AIが出した一般論を、自分の言葉に落とさずに話すコンサルタントへの失望があります。
経営者は、自社の歴史や失敗、悩みを理解した上での助言を求めています。

AIの文章をなぞるだけでは、「この人はうちのことを本気で考えていない」とすぐに見抜かれます。

便利さに甘えた瞬間、信頼は静かに崩れていきます。

 

⑵生成AIは「逃げ道を塞ぐ道具」として使え


生成AIは、楽をするための道具ではありません。

むしろ、経営者にもコンサルタントにも「逃げ道を残さない」ための道具です。
曖昧な表現を具体的な数字に落とし、感情論を現実的な選択肢に変え、先延ばししてきた判断を正面から突きつける。
この使い方をした時、生成AIは経営コンサルティングの質を確実に引き上げます。
AIに依存するコンサルタントは、いずれ淘汰されます。

AIを使って問いの精度を高め、経営者と真正面から向き合えるコンサルタントだけが、生き残る時代に入っています。

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