嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

商品開発をダメにする経営陣と商品開発コンサルのスタンス

SWOT分析、KPI監査、事業承継見える化コンサルタントの嶋田です。

商品開発をダメにする経営陣と商品開発コンサルのスタンス.jpg

 

常務 「もっと、サッパリ感が欲しいね」

専務 「うん、喉にスッキリする感じでね。」

社長 「何か、デザインもそうだけど、お客様が馴染みのある感じにしないとね」

担当者 「はあー、あのーこのドリンクは若手の喉の渇き向けでして…」

専務 「だから、若手と言っても、いろいろいるだろう。みんなが皆、こんなガツガツした物を欲しいわけではないだろう」

担当者 「はあー、そうですが、それではトンガリがでないので…」

社長 「君、トンガリと言っても、買う層が少ないなら、売れないだろう」

担当者 「はあー・・・」

 

これはある食品メーカーでの新商品のプレゼンの場面です。

社長役員の意向を聞きながら、何回も試作品を作りました。

そして

専務 「うん、これだね、この味とのど越しが良いね」

社長 「うん、専務の言う通りだよ。だいぶ良くなった。これで行きなさい」

担当者 「はあー・・・」

幾度か試作品のプレゼンをした結果、若者の喉の渇きに絞ったはずのドリンクは、高齢者も喜びそうな味覚に落ち着きました。

何故なら、「新商品チェックをしている役員は皆高齢者」だから。

こうやって、多くの企業の商品開発は、いろいろな立場の人がいろいろな意見や嗜好性で翻弄されるのです。

1,いろんな意見を反映させて開発した商品は、ほとんど売れない

何故でしょう?

商品の個性や差別化、特性が徐々にこねくり回されていくうちに、丸くなり誰にも受け入れられる商品になっていくからです。

個性がハッキリしない商品は売れるはずもなく。

開発担当者はしっかりリサーチをした上で、明確なコンセプトに沿って、例え誰がどう言おうと妥協しない姿勢が大事です(但し意固地の固執癖は困るが)

まあそれ以上に、その商品開発を後押しする経営者や会社の仕組みも大事です。

 

私たち経営コンサルタントは、こういう場面に良く出くわします。

その時にどういうスタンスで、議論展開を導くかで、結果は大きく変わってしまいます。

商品開発で大事な事は 「誰の、どういうシチュエーションを想定した商品か」 「競合商品と何が圧倒的に違うのか」

こういう目的がぶれてしまうと、先のドリンクメーカーのように、承認された商品とコンセプトが全く別物と言う事になります。

 

2,商品開発に介入するコンサルティングスタイル

企業のこういう商品開発の現場で、議論展開を支援できる事はコンサルタント冥利に尽きます。

コンサルタントが、そういう商品開発の現場に携われるのは、2通りです。

1つは、その商品開発のマーケティングや知識があり、具体的な意見を言うアドバイザーと言う立場

2つ目は、開発会議で上手にファシリテーター機能を発揮し、軌道修正や目的の定期的なチェックが第3者としてできる立場です。

でも意外に多いのが、知ったかぶりの「具体的な意見」を言うコンサルタントです。

自分の経験知識の範囲で、さも「お客様はこうですよ」と得意がって言う人がいますが、これは論外です。

一般的なコンサルタントは2つ目の商品開発ファシリテーター」がいい感じのスタイルだと思います。

 

3,商品開発ファシリテーターの仕事

先ず、商品開発会議に首を突っ込みます。

経営会議等で商品開発や改良の予定などがチェックされるはずだし、経営計画にも予定やアクションプランがあるはずです。

経営会議で「なかなか進まない商品開発会議に今度参加しますね」と了解を取り、実際にオブザーバー参加します。

その後、商品開発会議の課題を経営者に進言し、商品開発会議にも継続参加するようにします。

ただこの時のコツは「経営者も同席している商品開発会議」に限ることです。

経営者がいないところでは、意思決定もできず、効果性に疑問が残りますから。

そして、経営者同席の商品開発会議では

①商品開発スケジュール、デッドラインのチェック

②各商品開発の優先順位の確認

③商品開発の遅行原因のボトルネックの確認と経営判断の誘導

④次回商品開発会議までのプロセス決定事項の確認

こんな感じで、ファシリテーションを行います。

我々が商品の良し悪しを言ってはなりません。

あくまでも「先生、どう思いますか?」と言われて初めて答えるスタンスです。

この商品開発会議への参加は、長くて6か月程度で一旦、手を引きます。

そしてまた社長プロジェクトっぽい商品開発の時にファシリテーター機能を持つようにします。

これが私が商品開発ファシリテーションをしてきたスタンスです。

 

「商品開発」の現場で、一緒にコンサルティングできるのは本当にやりがいがあります。

場合によっては最初の商品コンセプトづくりは「商品開発SWOT分析」から入れば、もっと自分事になるでしょう。

 

●商品開発コンセプトはSWOT分析次第 動画解説

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