現場で使える「職員心得」の作り方
「職員心得」「求める職員像」「綱領」「行動規範」こういうことを文書にしている事業所は多いようです。そこで、理事長や院長、施設長、事務長にこう聴きます。「ところで、その職員心得って、皆守っているんですか?」と。すると、ある施設では「ええ、たぶん守っていると思います。なぜなら朝礼で唱和してしますから」と。
それを聞いて、実際の現場の長に確認したところで「確かに朝礼で唱和していますが、抽象的な表現なので、職員もいろいろな取り方をしているので、判断が難しいところです」と返ってきました。これこそ、「理念の形骸化」と言われる現象で、多くの組織で起こっている現実です。この施設はまだ、朝礼で唱和している分、良いほうだと思います。
1、使えない「職員心得」が多い理由
職員心得を作成しても、最初に職員勉強会で説明するだけで、あとはどこかに掲示している場合が多いですね。それではやはり、「絵に描いた餅」になるのは自明の理。職員の頭にも、心にも「職員心得」が入り込んでいません。また、心得の文書表現の問題もあります。あまりの精神論というか、心構え的な表現は個人によって、価値観が異なることを考えていません。
その「職員心得」を作成した理事長、事務長などの経営幹部と、末端職員では経験も立場も違うわけだから、「抽象論で行動を統一」するのは無理があるのです。
2、「職員心得」とは何か?
職員心得とは、「こんなケースの場合はこんな判断で、このように行動して欲しい」と思うことを文書化・箇条書き化しているものです。だから、本来なら「職員心得」のそれぞれ目次があって、その目次毎に箇条書きされた職員心得があるべきです。
例えば、ある医療法人の「職員行動規範」では、
- 地域に貢献し、地域住民から認められる行動をすべし
- 品格・人格を重んじ、軽率な行動を慎むべし
- 組織を逸脱せず、組織人として毅然と業務に精励すべし・・・
こんな「教育勅語」でも見ているような「職員行動規範」を見たことがあります。この医療法人の歴史がそうさせているのか、既に形骸化しているのに、何も変化を起こさせようとしていないのか。こんな堅苦しい、古文にでも出てきそうな表現を職員が納得して、常に意識するとは到底思えません。
「職員心得」とは平易な言葉で、ケース別の正しい考え方、行動を分かりやすく箇条書きにしたものが、使いやすい訳です。
3、現場で使われる「職員心得」のルール
職員心得の目次とは。例えば
- 部門間連携
- 報連相
- クレーム発生時
- トラブル発生時
- 整理整頓
- 会議進行
- 仲間への気配り
- KYT(危険予知)
- 部下、仲間とのコミュニケーション
- 人材育成 等々
こういうテーマについての判断基準をそれぞれ5~10前後箇条書きにします。だから、より具体的な表現になります。そして、実際にクレーム、トラブル、課題が上がって会議等で議論する時、「この職員心得の第何条ができてなかったから、起こったのか?」と具体的に反省する事で、職員に意識に浸透していくのです。それを「現場で活用する職員心得」というわけです。
4、職員心得が人事評価に入っている
職員心得の項目が毎年の人事考課に入っている事業所では、より浸透しやすくなります。評価する上司も「職員心得」を見るし、評価される部下も「職員心得」を見ざるを得ません。必然的に3年もすれば、中身を覚えていくでしょう。しかも、評価面談を仕組みに入れている事業所なら、更に職員心得が頭に入っていくことでしょう。こういう仕組みに入れることも「職員心得」が定着する秘訣です。
あなたの事業所には「リアルな職員心得」がありますか?一度検討してみてはどうでしょうか?
こちらのページもいかがですか?
無料電子書籍ダウンロード
「これを無料で渡すんですか?」と同業のコンサルタントがビックリしたマニュアルをご提供!各種コンサルティングマニュアルを揃えております。
コンサルティング現場実例ノウハウ
「こんな実例ノウハウを、こんな価格で売るって正気ですか?」と仲間のコンサルタントがあきれた「コンサルティング現場で活用した実例ノウハウ」があります。クライアントとの面談や会議で、また研修時に「見せるツール」しかも記入実例付きのリアルテンプレートを豊富に掲載。