管理職の意識が変化する瞬間

これは、今から3年前、ある介護施設での事です。私はそこでは、改善活動をコンサルティングしていました。毎月、各部門から集まるカイゼンレポートを推進委員から、発表してもらい、私がコメントを言うルーティンの時です。

あるデイサービスのカイゼン推進委員が、カイゼンレポートの発表を終えると、質問してきました。

「先生、なかなかカイゼン意見がメンバーから、自発的に出てきません。先生が言われたように「カイゼンミーティング」も実施しているし、カイゼン12項目も説明し、更に月度重点テーマも指定し、他部門のカイゼン事例も報告しています。言われた事は自分なりに全部やっているつもりですが…」と。

私は、即「どうして、そこまでやっているのに、メンバーは意見を出さないと思いますか?あなたなりの原因と思える様な事はありませんか?」と聴きました。

すると、彼はしばらく考えてから、「いつも何かカイゼンはないか、皆にお願いしているんです。皆も『あったら報告するから』と言うだけです。もしかしたら、私がお願いしずぎなんですかね?」と。そこで、私が「あなたが、他の委員会で、お願いばかりされたら、どう思いますか?」と聴くと、彼は「そうですね。『それはあなたの仕事でしょう。』とあまり気にも留めないかもですね」と。私は「同じことが起こっていると思いませんか?じゃあ、その他の委員がどうしたら、あなたは協力しようという気になりますか?」と。すると彼は「一緒に考えてくれる行動が具体的なら、協力するでしょうね。あっ…」彼は言いながら、何か思ったようです。「先生、私も言うだけでしたね。具体的な行動で一緒に考える事をしてなかったように思います。」私は「あなたがそう感じたなら、それが正解ですよ。じゃあ、具体的な行動とはどうする事ですか?」彼はまたしばらく考えてから、「自分から問題箇所の写真を撮ったり、提案して『これをどうカイゼンしたら良いと思いますか。』と事例を入れると考えやすいですね」

そうなんです。彼は、自分で方法論の変更を気づいたんです。私が教えた訳ではありません。こうやって、自ら気づく瞬間があります。自分から気づいた職員は行動に移す可能性が格段に高くなります。もうお気付きでしょう。

これは「コーチング会話」を使った、ワンポイントアドバイスだったんです。

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