コンサルタント失敗物語⑦(同業者コラボで失敗)

コンサルタントはクライアントの為に、自分の領域以外のコンサルティングを実施する場合、JV(ジョイントベンチャー)コラボ・協業・分業を組むケースが多い業種です。何でも自分だけで行おうとすると、限られたスキルの範囲だけの指導になってしまいます。すると、クライアントはバリエーションが少ないコンサルティングに対しては満足はしません。また、JVを組んだ方が、コンサルティング単価も高額になる傾向にあるので、JVは必要不可欠です。しかし、このJVの管理を疎かにしたり、依存し過ぎると、様々なトラブルが起こります。今回は、「JV活用での失敗」について紹介します。

1、庇を貸して母屋を取ろうとする強者JV 

JVを下請けと考えるコンサルタントもいますが、それではJVとの関係が上手くいきません。JVは対等な立場でクライアントの為に、自分の仕事をしっかりしてもらう事です。自身が元請又は窓口になり、他のコンサルタントをJVとして入れた場合、そのJVのコンサルタントが「信義」を守るかどうかがポイントです。

元請・窓口のコンサルタントを乗り越えて、または事前根回しもなしに、クライアントへ直接提案したり、コンサルティングの内容変更などを行うタイプだと要注意です。元請・窓口のコンサルタントのクライアントの横取りを仕掛ける可能性があるからです。

私も過去、自分の管理不足で「やられた経験」があります。「コンサルタントとして当たり前の事だし、JVの立場を分かっている」はずだと決め込み、「やってはならない事」を明確に伝えていなかったのです。ただ、クライアントから情報提供された事で未然に防げました。当然、そのJVとは縁を切りました。

2、事前指示とチェック不足でクレーム

JVを上手に使えないのは、こちら側の問題であり、JVが悪い訳ではありません。全てのコンサルティング(経営顧問以外)では計画・スケジュール・アウトプットを事前に決めなければなりません。その計画や詳細な指示なしに、安易にJVに委託すると、JVの価値観で仕事をします。

元請・窓口コンサルタントの期待や価値観と違う仕事の進め方をするのは明らかです。それが長年JVを組んで、気心が知れた間柄でもしかりです。すると、クライアントの真意やニーズがJVに伝わっていないのですから当然、期待とは違うというクレームの可能性が出てきます。元請・窓口コンサルタントが、詳細な事前指示、定期的なチェックや報告要求、中間調整をしっかり行う事が大変重要です。

問題は、若手の元請・窓口コンサルタントがベテランのJVを使う場合、JVの方が一枚も二枚も上手なので、やり込められる場合があります。相手がどんなにベテランJVでも、事前にしっかりと要望を詳細に伝えることです。

3、プロジェクトを専門JVに依存し過ぎてクレーム

自分の専門外のコンサルティングをJVに委託すると、その分野には口出しせず、任せっぱなしになる場合があります。スケジュール・アウトプットもJV主導で動いてしまい、元請・窓口コンサルタントがあまりにも介入度が少なくなります。いくら専門外とは言え、その内容や進め方、計画の詳細を元請・窓口 コンサルタントは知る義務があるので、詳細な報告を求めるべきです。こういうJV依存が多い元請・窓口コンサルタントは、自身が多忙の為JVに任せっぱなしになる傾向があります。

それでも、JVに報告を求め、またJVの効果をクライアントに直接確認する作業を怠るとクレームの温床になります。

4、JVのステルス営業に要注意

ステルス営業とは、「営業とは分からない営業」で、結果的にクライアントが、思わず発注してしまうような、高等テクニックです。JVはそのプロジェクトの期間中、クライアントにふれ合い、仕事をします。JV自身が元請・窓口コンサルタントの横取り営業などをせずとも、誠実で内容もよく、効果的な仕事をすると、現在の元請・窓口コンサルタントより輝いて見えるものです。

JV自身はクライアントに何も提案してないのに、クライアントの方からJVに「先生が当社のコンサルティングをしてくれた方が良い」と依頼されるのです。これこそ、まさに「庇を貸して母屋を取られる」状態です。しかも、JVは何も悪くありません。確実な仕事をしたまでです。

この場合はJVが元請・窓口コンサルタントより、優秀かつ信頼される場合に起こります。当然、JVは信義上、断るのが通常です。しかし、クライアントの方が信義を守らない場合、どうしようもないものです。

 JVを組む場合、隠れたリスクやマネジメントをしっかり意識して活用しましょう。

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