嶋田利広ブログ

コンサルタント事務所経営

コンサルタント失敗物語①独立開業時の失敗

これから不定期ですが、「経営コンサルタント 失敗物語」を書きます。これは私の32年間の経験の中からの失敗事例や、知り合いのコンサルタントなどからの見聞きした事実をと紹介します。現在に至るまで数多くの失敗を経験しています。また知り合いの「残念なコンサルタント」もたくさん知っています。多くのコンサルタント養成講座やそれ向けのセミナーは、「コンサルタント成功物語」ばかりを喧伝し、さも「コンサルタントは成功のパスポート」みたいな表現をしています。

しかし、そんなことは全くありません。いろいろな失敗の上で学び、同じ轍を踏まないような努力をしたから、続けられているだけです。その「コンサルタントの闇の部分」をオープンにして、そういうシチュエーションの予兆があれば、未然防止ができるノウハウや考え方を学んでもらおうと思います。

第1回目 「コンサルタント開業時の失敗」

脱サラして、経営コンサルタントとして晴れて独立。不安もあるけど、希望と情熱があるはずです。独立にもいろいろな形態があります。その中でも、私が経験した、または具体的な顛末を知っている事例を紹介します。

①共同創業でけんか別れ

一人ではなく2人、3人の共同経営で開業独立するケースは多いもの。当初は資金もなく、顧客もなくお互い助け合いながらやっていきます。しかし、こういう仕事はほとんど、途中で価値観のズレ、収入の偏り、不公平感の顕在化が出てきます。私が今の会社(㈱RE-経営)を創業する前、もう21年前ですが共同経営に近いカタチで、中堅のコンサルティングファームからの分社独立しました。

前のコンサル会社時代の部下をNO2に据えて、資本金も一部出資させて経営参画をして貰いました。前職では主任だったのを、取締役部長にして、給与も前職より15万円も増やしました(彼の生産性の割には高い給与)しかし、分社とは言え、元のコンサルティングファームとは、けんか別れに近いカタチの分社です(出資はしないのに、親会社の経営者が取締役に名を連ねる)私は顧客基盤をそのまま継承する代わりに多額のロイヤリティを支払う契約でした。その顧客基盤の60%は私自身が、創り上げたものであったので、ロイヤリティの高さに疑問を持っていました。

しかし、そこは分社なのでと割り切り、独自の路線を貫き、コンサル事務所として高収益を目指して頑張っていました。ところが、こちらの情報が前職のコンサルティングファームの経営者にダダ洩れが続き、その経営者が分社への関与を強めてきました。分社の取締役にしたNO2が情報を漏らしていたのです。彼の言い分は「親会社あっての分社」だから、情報を流すのは当然というスタンスです。

しかし、こちらの経緯はそんな甘いものではありません。分社せざる得ない状況になった経営者とは不信感いっぱいの関係です。そこから徐々にそのNo2との関係にも亀裂が生じてきました。しかも、給与を高くしたのに彼の生産性があまりに低いことも、悩みの種でした。

取締役なら最低でも月給の2.5倍の粗利を稼いでほしいのですが、せいぜい月給分だけの付加価値しか稼ぎません。当然、私の生産性だけが頼りの経営でした。そんなこんなで亀裂は不信感に代わり、これ以上一緒に仕事はできない状態になりました。私は、苦渋の決断をして、その分社した会社をNo2に譲り身を引きました。そして、自らは今の会社を立ち上げた訳です。

私のケースがレアケースですが、共同経営はやはり成立しません。単独創業の不安感は誰にもあります。しかし、共同創業での後からのもめ事は取り返しがつかないケースが多いものです。まず自由さがなく、必ず収入や職務権限への不公平感が発生します。合議制だとしても、決定事項は常に1つなので、言い分が違えばどちらかの意見が却下されます。更に、最初は話し合いで何でも解決できますが、そのうちいろいろな出来事が積み重なる内に、確認や報告のない案件が発生して不信感が漂い始めます。

一度芽生えた不信感は消えるどころか、どんどん心の中で膨らんできます。そして、決定的な出来事が起こって、仲違いになるのです。

後日、身を引く決断をした後、元の親会社の経営者に挨拶に行きました。すると、その経営者は「〇〇君が、コンサルタント事務所経営なんてできる訳ないだろう」と激怒。私からすれば、そう仕向けたのはその経営者です。だから「それは◇◇社長が支援すればいいのでは?◇◇社長と〇〇君の思い通りに私が去る訳だから、それは私の関与外の事です」と。しかし、今でもあの時、決断をしてよかったと思っています。

②辞めた会社の客に手を出し、逆襲

これはコンサルファームや会計事務所に勤めていた方が、顧客をそのまま独立時に持ち去る事のよる失敗です。コンサル業界はこれが結構多いものです。私も完全独立時には、顧客がついてきてくれました。当然、顧客には辞めることを伝え、本来なら担当は後任に引き継ぐのが正統です。

しかし、顧客から「あなたがしないのなら、契約はしない。独立してもあなたと契約する」とありがたいことを言われれば、それは仁義を切った上でのことだから仕方ありません。契約継続を決めるのは顧客であり、コンサルではありません。私の時も、私が出張中に私のクライアントに元の経営者が「嶋田の代わり、この◇◇(苗字)自らコンサルにきます」と強い営業を掛けたようです。

複数の顧客から「嶋田さん、◇◇社長が来て、自分がやるから嶋田さんとは一旦切ってくれと。でも◇◇社長のようなえらい方が来なくても、嶋田さんで十分やってもらっているから遠慮します、と伝えました」と。その後、◇◇社長は私のクライアントへの横やりはなくなりました。しかし、これはこちらの力と実績があればこその話です。もし、私にそこまでの力がなければ、元の会社は力づくでも奪いに来るでしょう。まず独立するなら、顧客にも元の会社にも仁義を切って、正々堂々と営業を掛けましょう。

③高学歴、高職歴の経験で食えると誤解

高学歴・高職歴の経験者が転職してコンサルタントになるケースも多いです。これも今から20数年前、私の部下として大手工作機械メーカーの主任技術者が転職をしてきました。生産現場の改善に詳しいという触れ込みだったので、基本的なことを教えた後、即2社ほどの製造業の工場指導を担当してもらいました。すると、半年もしないうちに、2社から同じようなクレームが発生。要約すると

  • 横文字が多い
  • 直ぐ前職の大手企業の内容を持ちだす
  • 「そんなことも知らないのか」みたいな口調が多い
  • 指導が丁寧ではない
  • 指導結果を文字や図に残してくれない
  • できないと論理的にぐいぐい詰めてくるので息苦しい  等々

それで「彼を外して欲しい」又は「契約を見直したい」というクレームです。彼にそのことを伝えると

  • 主観の問題で私はそんなつもりはない
  • レベルが低いから、いろいろ教えているのに、その言掛りはいかがかと。

また彼が6か月経っても受注(新規のコンサルティング契約)がないことを指導すると、

  • 営業する為にコンサルタント会社にはいったのではない
  • 営業を強要するなら、辞める

と、そこで辞めてもらいました。入社時に「営業できないコンサルタントは一人前ではない」から、受目標がある事は承知の上での入社でした。最後まで、いわゆる「コンサルタント病」を持った方で、そんな方はどこかで価値観を変えない限り、コンサルタントとしては生きていけないでしょうね。

④大手の経験が使えない中小企業

 大手出身の転職組のコンサルタントが最初に悩むことが、「指導しても、指示しても、宿題を出してもやってくれないからコンサルティングが進まない」とこぼす方が多いです。大企業でレベルの高い、訓練された部下を使い、中間管理職経験があるコンサルタント転職組は特にそうです。

何故なら中小零細企業の経営者も幹部も、「決まったことを決まったようにしない」ことが多いからです。更に、マニュアルや規定があれば動く組織と、そんなものがあろうがなかろうが、「やりたい」と思えば動く中小零細企業の差です。だから、大手企業の専門スキツや知識よりも、人を動かす人格やヒューマンスキルの方が中小零細企業では優先されます。

こちらのページもいかがですか?

無料電子書籍ダウンロード

「これを無料で渡すんですか?」と同業のコンサルタントがビックリしたマニュアルをご提供!各種コンサルティングマニュアルを揃えております。

コンサルティング現場実例ノウハウ

「こんな実例ノウハウを、こんな価格で売るって正気ですか?」と仲間のコンサルタントがあきれた「コンサルティング現場で活用した実例ノウハウ」があります。クライアントとの面談や会議で、また研修時に「見せるツール」しかも記入実例付きのリアルテンプレートを豊富に掲載。