嶋田利広ブログ

コンサルタント事務所経営

コンサルティングの定義が曖昧だと、コンサルタントはブレまくる

経営コンサルタントの定義は、いろいろな解釈があり、何が絶対の答えかは分かりません。長年、経営コンサルタントと言う職業を人生の仕事として、やっている訳ですが、私自身もその経験年数や年代によって、「経営コンサルタントの定義」が変わったように思います。「守破離」という言葉があります。武道などの師弟関係からの成長を意味するものです。

守とは、師匠や尊敬する人から、「型」を守る。すなわち修行時代を指します。

破とは、自分の経験を積み、自分にあった「型」を見つけ、既存の「型」を破ることを指します。いわゆる自立です。

離とは、「型」から離れて、自由自在に、「自分流」を構築できる事を指します。

そこで、自分の32年間の経営コンサルタント経験の中で、この「守破離」に置き換えると、どんな定義の変遷があったのか、振り返りたいと思います。

1、修行「守」の時代

20代で経営コンサルタント会社に就職し、そのコンサルタント会社のTOPの手法やスタンスを徹底して学んだ時代です。TOPのしゃべり方、勉強の仕方、営業トーク、経営診断の切り口、経営会議の進め方等々、20代で自分の経験なんてものがない時なので、「学ぶの語源は真似る」のごとく吸収していきました。多分、最初の10年間はそのTOPのプライベート以外の人間性を全て学ぼうとしたと思います(仕事の人間性は尊敬していたが、プライベートは…)途中入社の30代、40代のコンサルタントが、そのTOPや組織の姿勢を否定し「我流」でやっている人が多々いましたが、そういう方のほとんどは、雲散霧消していきました。

消えていったコンサルタントは原理原則よりも、テクニックやカタチに走る傾向がありました。この「守」の時代は、「一心不乱にマネル」が大事なようです。そうしないと、後から自己矛盾が出たり、ブレが生じてきます。で、その「守」の時代、すなわち修行時代のコンサルタント会社にも、いろいろなコンサルティングにおける定義がありました。

経営とは…

営業とは…

総務とは…

製造とは…

その定義に対して、具体的に徹底してやった事が、

  1. 使命感・経営理念の構築コンサルティング
  2. 経営計画書作成コンサルティング
  3. 経営会議支援・経営顧問
  4. 現状認識(経営診断)コンサルティング

これは、ある意味「コンサルティング商品」でした。それを自ら仕掛け、営業して、受注して、契約して、コンサルティング施行する事です。当然、最初の2年位は先輩上司の力を借りましたが、20代後半になると、自分自身がマネージャーになっていたため、全部やりました。多分、だから自力がついたのだと思います。

2、取締役から独立前後の「破」の時代

以前のコンサルタント会社には13年位お世話になりました。最後の5年間位はボードメンバーになり、九州全域やコンサルティング技術部門にまで責任を持つ立場でした。まだ、会社勤めの時代は、「破」はできませんでした。否、できないことはなかったですが、それ以上に業績責任やマネジメントに明け暮れ、「コンサルティングの追求」を手抜きしていたのでしょう。ある意味、私自身のコンサルティング経験の中で、一番苦しい時期でした。そして、14年後独立をします。独立後は、「コンサルティングの追求」「新たなコンサルティングの開発」を重点的に行いました。

「守」で学んだ「型」から、かなりのオリジナルなコンサルティングを開発していきます。この頃から、コンサルティングの定義を「アウトプット重視」にしていきました。各クライアントに必要なツール、マニュアル、規定、仕組み等々、すべてをPCでExcelやWordで作成しました。本来なら、コンサルタントはクライアントに指示をして、クライアント自身に作成させるのが多いですね。しかし、私は一緒に作り、実際の入力作業は自身で行いました。

入力は私がした方が早いし、文章表現も私がした方が良いので。入力状況をプロジェクター投影に投影して、クライアントに意見を貰いながら、その場で作成するスタンスです。無論、フォームや書き方は先に指導します。そして入力しながら、こちらから質問をし、それに答えて貰い、それを更に入力します。そうやって、2時間もすれば、たたき台どころか、ある程度の「見えるコンテンツ」ができていくのです。

3、最近の10年は「離」を目指して

離は、自分流が確立する時代です。とは言っても、「〇〇流経営ノウハウ」などの、絶対定義を持ち合わせている訳ではありません。そういえば、この10年は「上から目線の経営指導」をしないことが、定義になっているかもしれません。と言うのは、様々なシステムが開発され、データ分析から「最適解」を見出すコンサルティングに、以前ほど経営者は価値観を示しません(小規模企業ならまだ、そのニーズがあるでしょうが)また、コンサルタントが市場調査結果やトレンドを見て「今後はこの分野を強化しましょう」と提案する時代でもないようです。と言うのは、コンサルタントが知っている事は、ある程度の経営者なら誰でも知っている時代だからです。

だから、この「離」の時代の私の「経営コンサルタントの定義」は、「SWOT分析コンサルティング」などを通じて、「経営者や幹部、社員に問題発見プロセスをコンサルタントし、その改善策のメニューとヒントはコンサルタントが示すが、具体策の決定も行動プロセスも、クライアント自身に考えるように導き、そのモニタリングをコンサルタントが行う」みたいな感じが今の私のスタンスの近いですね。そうする方が、経営改革は進みます。

コンサルタントが上から目線で指導するやり方が、通じない時代になったようです。但し、専門知識を武器にしたコンサルタントなら、まだまだ指導するコンサルティングが有効でしょう。しかし、そういう知識指導型コンサルティングは、長年の経営顧問にはなりにくい側面を持っていますね。面白いもので「離」の時代になりつつあるにも拘わらず、コンサルタント人生の中で、この10年が一番、ノウハウコレクターとして、投資をしています。ある意味、よりコンサルティング技術を学習しているかもしれません。

経営コンサルタントと言う仕事は、その経験とクライアントの属性や規模、また新たな価値観の学習によって、定義や求める内容も変わっていくようです。経営コンサルタントの業界では、以前から言われている事で、「コンサルティングとは、経営者に判断を提供する事」と言うのがあります。

経営判断に影響する事をアドバイスしたり、一緒に考えたり、時には調査分析する事が本来の仕事のようです。だから、それに関する事ならどの定義も間違っていないという事でしょう。

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