会議指導でコメンテーターだけをやると、必ず切られる
私がコンサルタントとして修業時代(もう、23年位前)、大手のコンサルタント会社の経営会議の指導の実態を目の当たりにしました。私自身はその企業の顧問でもなく、直接的な関与もしていません。研修の提案でちょくちょく訪問している位でした。
私が先方の総務部長と打ち合わせをしている時、隣の会議室(声が漏れる仕切りしかない)で、まさに大手コンサルタント会社のコンサルタントが入って経営会議を始めました。私は研修関係の報告書を書くと言うことで、了解を貰い、その場に2時間弱居座りました。
コメントしかしないコンサルタント
実はその総務部長が「嶋田君、横で聴いていてごらん。後で感想もらうから」と意味深なご希望でした。その経営会議では、社長も訓示の後、コンサルタントのコメントがあり、後は一般的な報告が続きます。その間に経営者から罵倒や叱咤、が数回あり、最後のまたコンサルタントがコメントをして終わりました。経営会議が終わった後、総務部長が私の待っている打ち合わせ室に来て、「どう思うこの経営会議。コンサルタントは何をしてくれるのかね。ただコメントして終わり。それで月25万円だよ。高いと思わない。確かにその前に社長と長い時間打ち合わせしているから、その内容は分からないけど」と、そんなニュアンスの事を言ってきました。
私も「経営会議でコンサルタントがコメントしかしないなら、わざわざコストを掛けて出る必要はないですね」見たいな事を言ったと思います。その後、そのコンサルタントは契約解除されたそうです。これは、そのコンサルタント固有の問題ではありません。長年継続して会議顧問になると言うことは、コメントばかりして相手が納得するはずがないのです。
終始しゃべるコンサルタント
違うパターンもありました。今度はコメンテーターだけではなく、終始しゃべるコンサルタントです。経営会議なのに、コンサルタントの指導ばかりで、いわゆる「研修教育型経営会議」と言われるものです。先ほどのパターンと違い、なんかこちらの方がコンサルタントっぽいように思えるかも知れませんが、実はこれも解約されやすいパターンなのです。人はいつも一方的に教えられると確実に飽きます。
コンサルタントが手を変え 品を変え、いろいろなテーマをもってきても、 コンサルタント主導だと、参加者の討議やブレストができないからです。毎月の経営会議で、研修スタイルだと、話し合うべきことが話し合えず、他の時間帯で、経営会議をするようになります。すると、「コンサルタントの指導はもういらない」と言う声が出てきて、経営者も効果性に疑問があるなら、「そうだな、解約しよう」と言うことになります。
だから、私は何回も言っていますが、コメンテーターでもなく、一方的な指導でもない『会議顧問』のスタンスは、ファシリテーターと書記として会議の進行を牛耳ることだと思うのです。但し、2番目のパターンが必要な時もあります。それは「戦略テーマ」が議題で発生した時です。その場合は、ファシリテーターやコンサルタントは答えを言う必要はありません。判断基準を示せば良いのです。
判断基準とは原理原則に基づいたことですが、経営会議の参加者がその判断基準に基づいて、議論し決定事項を出して行きます。この答に必要以上にコンサルタントが介入し、自分の答えをゴリ押しすると、またクライアントの心が離れます。例えば、新規事業や設備投資、撤退縮小などの経営判断が必要なテーマについては、明確な判断基準を、その会議で述べた方が、皆は助かります。ただ、この新規事業や設備投資、撤退縮小の判断と言っても、何をどう言えば分からない方もいるでしょう。そこで、当社のコンサルタントや会計事務所の職員教育用のDVDを上手に活用頂くと、会議顧問が円滑に進みます。
これらの判断提供は経験も大事ですが、どんなにベテランでもすべての経験ができる訳ではありません。そこは先ず知識先行で行くべきでしょう。この新規事業や設備投資、撤退縮小は企業の生き残りや業績や資金繰りに直結するだけに、深く議論せずに簡単に判断すると取り返しのつかない事態になります。そういう重要な判断をする経営会議では、判断基準を学習して貰う場があっても構わないし、むしろ経営者は歓迎する筈です。
そういうところで指導型を発揮するなら、意味がある会議顧問として、数年、10数年と継続コンサルティングが続く訳です。
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