嶋田利広ブログ

コラム

29年のコンサルティング契約が静かに終わる時

先日、長年経営顧問をしている企業の経営者と話して、29年間続けてきたコンサルティングが終了することになりました。次の決算月までで終了します。別のクレームというわけではありません。29年間も毎月続けているいますから、その企業の社外役員見たいな感じです。良いことも悪いことも共有し、陰になり日向になりいろいろなコンサルティングをしてきました。

しかし、その企業の成長に伴い、「コンサルタントの役割が変化」していきます。コンサルタントの能力というよりは、専門性の問題、専門担当者の成長などで、より高度な専門コンサルタント必要性が出てきました。「自分の役割の終了」が近々あることは、数年前から感じていましたので、驚くこともなく快く、解約の話を受け入れることができました。因みにこのクライアントは一般に斜陽産業と言われるオールドエコノミーの企業です。

私が介入した当初売上は年商13億位の中小企業でしたが、現在はグループで100億円規模が狙えるレベルになってきました。ただ、月次コンサルティングが終了することの一抹の寂しさがあるのは事実です。何せ29年間、家内より長いお付き合いですから。では一体、私はそのクライアントに対して、どんなコンサルティングをしてきたのか、一部をご紹介します。

1、経営理念を一緒に作成

最初は経営診断を受注し、その改善計画に沿ってコンサルティングをしました。その最初に経営者、幹部と1泊2日で合宿し、一緒に経営理念を確定しました。この経営理念は今でも毎朝唱和しています。その後、経営理念と行動規範をせいりした小冊子を作成。それも、経営者幹部と合宿して作成しました。定期的に合宿で心を通じ合う事も重要だと感じています。経営者の言として、「理念という『心の糧』を一緒に作ってくれた事への感謝」があったといいます。

2、会社の基礎の時代の層別社員研修を徹底して実施

その会社がまだ売上10億円台、社員数50名前後の時代に、マインドセットや営業技術管理職のマネジメントに関して、様々な研修を顧問とは別に実施してきました。その関係から、ほとんどの社員と面識があり、いろいろな現場の声を知ることができました。また顧問とは別の研修ですので、研修売上を相当頂いた事はありがたい事でした。

3、様々な「見える化」をコンサルティング

まだ、ノートPCを現場で使うことが一般的ではなかった時代から、積極的に「見えるコンサルティング」をしてきました。

  1. 毎年の経営計画書、部門別アクションプラン
  2. 先行管理表の作成
  3. 生産部門の作業別業務手順書の作成
  4. 生産部門の部門別スキルマップ作成
  5. カイゼン活動導入
  6. 経営理念手帳の作成
  7. 部門別人事評価・職能評価の作成
  8. 中期ビジョンの作成
  9. 就業規則では管掌できない独自のの内務規定
  10. 面談、新規開拓、トークの営業マニュアル作成  等々

詳しく議事録やデータを見れば、まだまだいっぱいあったと思います。私にとっては「結果の見えるコンサルティング」を目指すようになったきっかけを作ってくれた企業といえます。

4、役員幹部人事への提案

長年、コンサルティングをしていると、人事面についてのいろいろな出来事がありました。その都度、経営者に提案したり、経営者役員と協議しながら、外部コンサルタントならではの立場で、直接介入したこともあります。経営者にしてみれば、長年の付き合いのある幹部には、なかなか三行半は出しにくいもの。それを代行したり、きっかけをつくるのも、コンサルタントの役割かもしれません。

5、最初の10年間は経営会議の司会議事を担当

これは私のコンサルティングの王道の進め方です。最初はいろいろな決定事項を経営者、幹部と協議しながら、進めていきました。司会と書記は私が担当し、経営者や役員幹部には議論に徹底して貰うのです。

6、29年間連続実施の経営方針書作成と発表会

毎年決算期には次年度の経営方針書を作成します。数値計画、各部門の重点課題と行動計画作成です。その為に決算前2か月から、幹部を集めて合同会議を実施し、内容を詰めていきます。そして事業年度の開始月に、全国の拠点や部門から全社員が集まり「経営方針発表会」と懇親会を実施しています。また、3か月に1回は幹部が集まって、その進捗状況報告会議を実施し、「作りっぱなし」にしない取り組みも継続しています。これまで経営が厳しくコスト削減が必要な時も、この経営方針書作成と発表会、チェック会議は継続してきました。

こういう取り組みは「目の前のコストより、全社員が集まることのプライオリティが高い」と経営者が判断しているからです。そういう「大事なことを愚直に守る姿勢」は大事と思います。

7、コストダウンとモチベーションアップを具現化したカイゼン活動の継続

カイゼン活動も私が主導して導入してから、10数年経ちます。毎年全部門から300~500件のカイゼン案が出ます。私はある生産部門を中心にカイゼン活動コンサルティングをしてきました。毎年、これだけの数のカイゼン案が出ることは、全員がカイゼン活動に取り組んでいる現れだと思います。そして、各部門から「ベストカイゼン」を出し、それを幹部が評価し、経営方針発表会で表彰しています。カイゼンはこのクライアントでの「企業文化」になっていることは、ありがたいことです。

このように、29年間いろいろなコンサルティングに取り組み、うまくいったこと、うまくいかなかったことがいろいろありました。しかし、そういう事を共有できたことに誇りを感じます。以前、この企業の経営者から「嶋田さんは、うちの七本槍の一人だから」と言われたことが本当にうれしかったことを覚えています。

実は、この本体との月次コンサルティングはいったん終了しますが、また子会社のコンサルティングを依頼されているので、引き続きこの企業グループとはお付き合いする予定です。

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