嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

経営者にSWOT分析を理解させる方法

SWOT分析が、いかに良い戦略分析ツールだとしても、経営者がそれを受け入れない限り、宝の持ち腐れです。コンサルタントや会計事務所職員、はたまた自社内の幹部が「社長、SWOT分析をしてこれからの経営戦略を明確にしましょう」と言い張っても、経営者が「うちの業界で、新しい事はないし、新しい事をやる資金もないし、現状が厳しいのに、下手な事をやって上手くいかなかったら、それこそ死活問題だ」と、超ネガティブ意見を言う場合もあります。

そんな経営者や事業責任者に、SWOT分析の必要性や有効性を理解してもらう為に、どんな事をすればいいのでしょうか?私の過去の経験からいくつかのメソッドをご紹介します。

1、中期ビジョンを聴きだす

経営者は本来、常に未来を見ています。今が厳しくとも、未来に何らかの可能性を見つける意思は必ずあります。中期ビジョンのイメージを聴きだし、それを実現する為に「止める戦略と伸ばす戦略」の事業仕分けを提案する訳です。経営者も「ムダ」は止めたいと思っています。そして、できるだけ経営資源を集中して収益を上げる事を願っている筈です。

その経営者の意思とSWOT分析は完全にリンクするので、「ビジョンを創る為に、SWOT分析は不可欠です」と説得します。これはいわゆる正攻法です。但し、零細事業所の場合、経営者にそういうヤル気がない場合は、正直言って、何をどう言っても難しい場合はありますけどね。

2、値上げしたい商品と値上げの仕方を議論する

値上げは「経営戦略」です。値上げして顧客が受け入れるのか、それとも拒否されるのか。値上げを議論すると、様々な経営戦略や商品戦略、顧客戦略が議論されます。そこで、それとなく「強み」を整理し、何となく「機会分析」にもっていきます。

値上げできる商品は既に付加価値があり、それを求める顧客がいる訳だから、それに付随した周辺商品やサービス、アフターなどの「機会分析」のヒントを多用して、小さな可能性、ニッチ市場やニッチカテゴリーの意見を聴きだします。大上段に「これからSWOT分析をします」と言わない方が、良い場合もあります。

3、顧客アンケートをして、その集計分析からSWOT分析へ誘導

顧客アンケートに興味を示さない経営者はいません。只、どんな苦情や悪い意見が出るのか、怖いだけです。顧客アンケートは、総花的なモノではなく、ある「仮説」に基づいたモノから、ヒアリング調査などをして収集します。仮説は、SWOT分析をしようがしまいが、どの企業にもあるはずです。その仮説の検証として顧客アンケートをします。

その集計後に、

「この顧客のニーズは、どんな広がりが出るでしょうか」

「この顧客層に特化した商品、サービスってどんなものでしょうか」

「社長は、このアンケート結果から、どこにどんな戦略をぶつけるべきだと思いますか」

こういう事を聞く事自体、既にSWOT分析に入っています。それを「SWOT分析記入シート」に書いていけば、良いのです。

「SWOT分析をしましょう」というから、理解されない

上の2つの切り口は、最初に「社長、SWOT分析をしましょう」とは言っていません。元々SWOT分析の知識にない経営者に、そもそもSWOT分析とは何ぞや、と一から説明しても理解して貰えない場合もあります。そんなときは、『結果的にSWOT分析をしていた』見たいな、スタイルでも良いと思います。元々「SWOT分析」とは、単なる経営戦略立案ツールであって、それ自体が儲かる仕組みではありません。

SWOT分析の議論をして、行動してこそ、成果がでるものです。だから、入り口のSWOT分析の理解で躓いては、次に進めませんね。

『後から振り返ったらSWOT分析だった』もいいんじゃないでしょうか。

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