職員の離職理由を知れば、対策が浮かび上がる
先ず下のデータをご覧ください。 これは弊社のコンサルティング先である、病院や介護施設での退職者のヒアリング から出た「辞める理由」です。
この「辞める理由」には、「結婚」「出産」「子育て」「健康障害」が退職理由の 場合は含んでおらず、あくまでも「組織内の問題」による退職理由を上げています。
弊社調査による 「結婚出産・健康障害以外で辞めたくなった組織風土の理由 15」
- 経営陣も管理者も自分達の話を聞いてくれない
- 自分達の意見を聞かず、なんでも勝手に決めて、無理な事でも 『仕事だから』と言う指示に嫌気がさした
- 人が辞めてしわ寄せが来ていても、ねぎらいの言葉ひとつない
- 上とコミュニケーションがなく、言いたい事も言えない雰囲気で 息が詰まった
- この職場では、前向きな提案がいつも却下され嫌になった
- 上司は指示するだけで協力してくれず、自分ばかり孤軍奮闘させ られ、あほらしくなった
- 人間関係が難しい。問題の師長がいて、看護部長も知っているの に、何も手を打たない
- 評価制度を導入したが、不公平がまかり通り、経営陣はダメ管理者 の声だけで判断し 現状を見ていない
- うちの病院は何を提案してもダメ。新たな挑戦・独自の動きを絶対 しないから、その内ジリ貧になる
- 病院収支が悪く 給与も賞与も下がったが、『業績が悪いから 仕方ない』と一方的に言うだけで、経営陣や管理者からのお詫び の言葉もない
- 病院で起こっている事や、今後の方針を何も知らされず、ただ 「働け」というばかりの経営者に不信感がある
- 同族組織だから仕方ないけれど、仕事をあまりしていなくても 身内は厚遇されて、他人従業員には冷たい
- 責任と義務ばかり要求されて、何も権限が与えられていない
- 経営陣がとにかく仲が悪く、コミュニケーションが取りづらい
- 部門長同士の仲が悪く、必要な横の連携を自ら取らず、何でも 職員に伝達させる
いかがでしょうか。結構思い当たる節があるのではないでしょうか?ここで、「離職者が後を絶たない病院や施設」において、組織での問題が 生み出す「慢性的な課題」を5点上げたいと思います。
1点目は「誰かが辞めれば業務の負担が高まり、新たに辞める人が増える 悪循環」が生まれると言う事です。この悪循環を断ち切る為には、職員の負担増の間のメンタルケアを徹底して 行い、その間に補充を急ぐ事が求められます。 人は、「いつまでも続く過労」に対しては希望が持てず心が折れやすくなりま すが、「期限」が見えるものについては何とか頑張れる傾向にあります。 「補充が出来るまでは仕方ない」と過重労働を放置していると、一気に離職 者が増えるリスクがあります。 先ずは「面談」を通して、メンタル面のケアを行う事です。
2点目は「仕事の達成感や目標が見えない(いつの間にか仕事をこなす事で 精一杯)」と言う事です。ハツカネズミのようにただ走り続けるだけでは、疲弊感のみが残ります。 今、自分がやっている仕事の意義の理解、将来のスキルアップとキャリアパスの 構築、また実践していることが何らかの形で少しでも報われる事が、達成感や 目標につながります。それを導き出すのも管理者の業務と言えます。
3点目は「責任感がある人ほど、疲労し健康不安が生まれる」と言う事です。何事も一所懸命する人は、常に緊張感があり、疲労度も高いことでしょう。 おそらくそういうスタッフこそ、必要な人材として管理者も重宝していると思います。 ただ、人間の緊張感はそう長くは続きません。責任感のある人ほど、折れる時は 一気に来ますので、注意が必要です。
4点目は「医師も、患者・家族も、医療スタッフも、上司も責任のなすりつけ合い で、理解者・協力者が少なく孤立していると感じる」事です。人が一番辛く、そこから逃げ出したくなる最大の理由は「孤軍奮闘」です。 「いったい何のために自分は頑張っているのか?」が見えなくなる事です。 「孤立」する事ほど怖いものはありません。真摯な姿勢で一緒に考える姿勢や 風土があれば、何とか改善の糸口が見えますが、皆が自己保身に終始したり、 暖かい思いやりがなくなれば、「孤立者」は益々増えるばかりです。
5点目は「夜の連絡網が、疲れた職員に誤解を与え、離職を加速させる」と言う 事です。これは、以前のメルマガでも書きましたが、この理由による離職は枚挙に暇がない ほどあります。 仕事が終わって家に帰り、携帯電話で病院施設の人事の話や、他人のゴシップを 吹聴する輩がいます。悪い情報ほど、一気に伝搬します。 特に、疲弊している職員ほど、夜に話される裏情報のような悪い情報を正しい情報 と誤認し、病院施設から心が離れていきます。 こういう情報の伝染経路を特定し、防止する事はなかなかできません。 悪い情報・偽情報を誤認させないように、日頃からコミュニケーションが必要でしょう。 何故、人は誤認情報を信じるのかと言えば、それは正しい情報を言う人とのコミュニ ケーション量が少ないからです。
「離職理由」を個人の責任やキャラクターだけに負わせ、組織としてなんら対策を打た ねば、益々離職者は増え、事業そのものが継続しにくい事態になり兼ねません。
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