コンサルタント失敗物語⑤(研修時の失敗)

企業内研修はこれまでも数え切らないほど実施してきました。研修はコンサルティング商品として、売りやすい商品の一つです。手離れが良く、一般のコンサルティングのように成果責任が問われにくい傾向があります。また、経営者も1人当たりいくらの教育費と考えるので、人数がまとまるとそれなりの高額な金額でも受諾可能です。しかし、1回研修を実施して、二度とリピートがない場合もあります。それは、ほとんどが我々側の問題だったが場合ではないでしょうか。

経営者は1回の研修で魔法のような成果を求めてはいません。しかし、ある程度の効果は期待されています。それが、こちらの不手際で「研修なんてしない方が良かった」と思われる事が、リピートにならない理由になる訳です。

 1、アウトプットのない研修は1回だけ

いくら企業研修とは言え、研修中に作成したモノや研修後の資料やフォーム、研修を通じて今後の目標などの「シート」がないものは評価されにくい傾向があります。いわゆる「アウトプットがない研修」です。アウトプットがない研修だと、

  1. ただ講義を聞いただけ
  2. ただ検討会をしただけ
  3. ただ研修というものを時間を使ってやっただけ

という事です。当然、その研修後の成果を出すところまで、研修中にアウトプットを作っておかないと、経営者は満足しません。では「企業内研修」におけるアウトプットとはどんなものでしょうか?

  1. 今後の目標や対策が書かれたもの
  2. グループディスカッションで皆の意見をもとに作成された5W2Hの対策表
  3. グループディスカッション等で作成されたマニュアルなどの後から活用できるもの

要は、「可視化」「見える化」されたモノをアウトプットと呼んでいます。それがあると、「あー、このツールは〇〇先生の研修で作ったものだった」と再確認され、「また先生にお願いしようか」という事になります。講義や討議だけが許されるのは1回だけ、しかも短時間の研修だけです。

2、会社の意向とは違う声のデカい人の意見に左右されてクレーム

これは私も若い頃結構しでかした研修です。グループディスカッションや課題討議の時、他者を威圧する「声のデカい」社員やミドルがいます。声がでかいだけでなく、性格も強く、「その人が強く言うと、誰も黙ってしまう」「上司がいても平気で自分の意見をごり押ししてくる人」です。彼の言っていることが的を射ているなら、それを議論の俎上に上げることは全く問題ありません。

しかし、自己勝手な見解やネガティブワード満載の場合、軌道修正が必要です。しかし、軌道修正をしようとすると、猛烈な反発をして「研修の雰囲気を一気に崩す」というリスクがあります。すると、コンサルタント側の、「悪い忖度」が働き、何とか場をまとめる為、妥協したりするのです。その結果、経営者が期待する対策や提案が生まれず、「こんな対策を出す為に高い費用とコストを払って研修をしたわけではない」とクレームを貰う事もあります。我々は、違った方向に流されてはいけないし、そういう悪い場の空気にならないような運営方法を身につける必要があります。

3、外注依頼したJVとの事前打合せ不足

このケースは、自分のクライアントに自分ができない専門テーマを他のコンサルタントに依頼して研修を行う場合です。いわゆるジョイントベンチャー(JV)です。自身も一緒に研修に参加して、そのJVコンサルタントの研修を受けます。しかし、そのJVが持っていこうとしている方向性が、自身の考えていること、経営者の要求事項とは違う場合があります。しかも研修が始まってしまえば、その途中で「〇〇先生、その方向は違うので修正してください」と皆の前でいうわけにはいきません。

仮に休憩中に「軌道修正」を依頼しても、そのJVが気分を害する可能性もあります。そう言うことが発生するのは、「事前の打ち合わせ」「仕様書作成」の不足から起こっています。JVに研修を依頼する場合

  1. 研修の目的とカリスマリーダーとゴール(帰着点)
  2. 研修プロセスとメソッド
  3. 元請コンサルタントの介入場面

を事前打ち合わせで明確にしておくことです。

企業内研修は上手に行えば、信頼感も高まり、リピートも可能ですが、失敗すると、ネクストがなくなるので要注意です。

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