嶋田利広ブログ

コンサルタント事務所経営

商品値上を円滑に進める交渉と具体策

SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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各方面から原材料や仕入れ価格が値上げされています。

大手企業や優越的地位のある商材を取り扱っている場合、顧客への値上げは比較的容易でしょう。

しかし、競争力のない商材や「顧客の顧客」に値上げがまだまだ進んでいない中小企業では、おいそれとは値上げが進まず負担増が重いまま、経営を圧迫しています。

「分かっているけど、顧客がうんと言わない以上、値上げができない」

「同業他社も我慢しているのに、うちだけ値上げしたら切られてしまう。そうなったら元も子もない」

「大手があげてくれないと中小は上げられない」

こんな状況で中小企業ではまだまだ値上げが進んでいない状況です。

しかし、秋以降まだまだ原材料の値上げが続き、もう待ったなし。

そこで、ここ20年間くらい「値上戦略」を取る場合、弊社はどんな指導をしてきたか整理します。

過去にも原材料値上げが何回もありました。

その時に即できたこと、時間をかけて実施したことなど。

業種によってはできないこともありますが、ご参考までに。

1,高級プレミアム商品の提供

既存商品の値上げが難しい場合、やはり付加価値商品を投入し、全体的な底上げを意識すべきです。

プレミアム商品はこだわり原料、ありがたいサービス、差別化した機能などで新商品化します。

 

2,オプション・追加商品を紹介

本体の値上げも顧客へ依頼するが、本体値上はなかなか受け入れて貰えない場合、周辺機器やオプション、追加商品を用意して単価アップを狙います。

特にオプション商品は選択できるもので、顧客へのサービス強化になるものが良いですね。

 

3,値上希望を段階的に告知

確かにインフレ、円安で値上したい気持ちも分かるがお客様の懐事情もあり、言われたら即値上に対応できないことが多いようです。

だから数回に分けて値上要請を言い続けないと、1回程度の案内ではなかなか受け入れられないでしょう。

値上げ要請の文面パターンをいくつか用意し、購買決定権者へ数回に分けて郵送します。

しかも、嫌みにならない程度の間隔で。

 

4,原価、仕入価格の上昇と業績減少推移データ提供

これはB to Bでよく使う方法です。

値上の根拠を細かい数値データの推移表を作成して説明します。

値上げがなければ厳しい現実を根拠ある数値で以前との比較表で出します。

しかも、その原料アップ分の値上を全部顧客に乗せるのではなく、一部は自社も負担している数値的事実を見せることが説得には必要です。

 

5,ポーションダウン

同じ価格だが、容量、頻度、サービスを少なくすることです。

食品などでは結構多いですね。

 

6,包材など簡素化

本品の品質に影響ない包材をなるべく使わない、減らす。これはSDGsやカーボンニュートラルにもなるし、合理的説明になります。

 

7,セット販売、組み合わせ販売(クロスセル、アップセル)

これも昔から言われている手法です。

何かの商品とくっつけて、単価を上げる方法です。

 

8,おひとり様仕様

例えば450円の総菜があり、3人分の量があるとします。

一人で分ければ150円ですが、個別や小分けにするとパッケージ代も掛かります。

そこで1人分を250円位にして小分けした分は粗利をとる方法です。

小分けして、単価を上げて粗利確保をします。

 

9,特定サービス付き価格

商品に、ある限定企画のサービスを追加する事で、高単価を出します。

この限定企画のサービスは特定顧客にだけ反応するものでも構いません。

そういう「尖ったサービス」を欲しがるゾーン専用の商品をあえて作ります。

 

10、在庫品と新商品の価格差を利用して在庫処理

新製品は価格を維持(その場合はポーションダウンや規格変更が必要)または値上げした価格で販売します。

この時在庫商品を捌かせるために、あえて新製品との価格差を打ち出し、割安感を出して在庫品の一掃セールをします。

 

11、容器・パッケージを変え、改良商品で新価格

内容はさして変わらないものでも、容器、パッケージ、ネーミングを変えて、少しだけ内容を改良するだけでも、新商品として高価格をPRできます。

既存商品とは別物と思わせることが大事で、狙うターゲットやニーズを意識した「見た目の変更」です。

 

12、Web直販で価格維持で販売

B toBでは、なかなか価格が通らない場合でも、自社の直販なら値付けは自由。

「うちはB to Bの商品だから、直販はできない」

と決めてかからず、「Web直販サイト」から自社商品を販売します。

仕入れ商品でも何らかの付加価値をつけて独自商品として売り出すことも可能です。

 

13、独自性・商品ストーリーを全面に出したPR

日ごろからの商品もそこの独自性の打ち出し、商品ストーリーを添えて、YouTube動画や専用サイトを作ることで、リブランディングは可能です。

商品やサービスは同じでも、それを支える社員の姿勢やひと手間などが手の掛かったイメージに仕上げることで、先ほどのWeb直販にすることもできます。

 

「値上対策」を取るとき、仕入れや原料が上昇した分を価格転嫁にするだけでなく、固定費の上昇や付加価値を意識した「思い切った値付け」を行いましょう。

そして、後は顧客に納得してもらう対策を同時進行で進めて、このインフレを機会に「高イメージ商材」の企業として生まれ変わるきっかけにしたいですね。

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