嶋田利広ブログ

コラム

コンサルタントが長続きしない理由

今日は、経営コンサルタントが長続きしない理由について、ご紹介します。私も今年で、この世界に入って27年になります。最初の15年間はコンサルティングファームでお世話になり、独立して12年です。今まで色々な仲間を見てきましたが、10年以上この仕事を第一線で頑張っているのはほんの一握りと言えましょう。

この仕事は「参入しやすく、長続きしない業種」の典型かもしれません。希望と夢を抱いて、コンサルタントとして独立した多くの同業者は、収入面で最初に苦戦するようになっています。

中小企業診断士の資格を取得して登録し、商工会議所や団体に売り込んだとしても、最初に来る仕事は低単価(1日3~7万円)のスポット業務です。確かに、スポット業務が毎日でもあれば、十分生活は成り立ちますが、どの世界でもそうそう簡単に仕事が来るものではありません。

ある程度生活が安定するコンサルタントの独立形式は、どこかのコンサルタントファームから独立し、その際にクライアントも一緒に持っていくケースのみです。従って、コンサルタントを目指す者は、独立して1年目に「安定的な収入確保」につながる仕事の進め方をしなければ、後々までずっと生活の不安定感に悩まされる事になります。

コンサルタントが何らかの形で中小企業の指導をしたり、講演をしたりするのに、「コンサルタント自身の生活が不安定」では、仕事に迫力もなく、また、そういうコンサルタントから出るマイナスオーラは中小企業の経営者にも伝染していきます。

当然、そういう「貧乏臭いコンサルタント」から指導を仰ごうと言う経営者は皆無です。とにかく、1年目に固定収入の基盤づくりを常に意識する事は一番肝要だと言えます。独立当初は、仕事を選べないので、どんな低単価な仕事でも請ける事になりますが、スポット業務の忙しさだけで、固定収入につながる「戦略的な仕掛け」が疎かになってはいけません。目の前の業務に忙殺されて、結果、食えなくなって『サラリーマンに再転職した』ケースを今までたくさん見てきました。それらのコンサルタントに共通するのは、「受注の仕組み」が人任せの人達です。

「コンサルタント養成講座」の主催コンサル会社からの紹介、商工会議所からの紹介、知り合いの税理士からの紹介、経営者協会等の団体からの紹介など、「紹介」は大事ですがが、全て人任せです。特に、「高額のコンサルタント養成講座」を受講すると、「仕事が回ってくる」と安易に考えている人は多いようですが、あくまでも「コンサルタントスキルアップ」が目的の講座であり、仕事の受注は本人任せと言う現実をしっかり認識しなければなりません。「紹介」というのは、いつ来るか分からず、まことに不安定なのです。そればかりか、独立当初に「営業の仕掛け」を経験していないと、年齢の高いコンサルタントやベテランのビジネスマンからのコンサルタント参入組は、「営業をする勇気」を失う傾向にあります。

いわゆる「今さら、頭を下げて営業したくない」と言う意識やプライドが頭をもたげ、より受注の仕掛けを難しくするのでしょう。

コンサルタントを誤解している人も結構多い。例えば、「中小企業診断士を取得すれば仕事が舞い込んでくる」とか、「コンサルタントは頭を下げて仕事を取る職種ではない」などと思っている人も多いですが、そんなに甘い仕事ではありません。特に、昨今のように不景気が一段と厳しくなっているときには、中小企業の経者とは言え、「コンサルタントへの値踏みも厳しくなる」のです。

中小企業診断士を取得したからと言って、コンサルティング受注とは別物と思って頂きたいすね。

また、独立する前に専門分野がある場合、それを差別化の武器にする事も可能です。ほとんどのコンサルタントの独立組は、品質管理が得意とか、営業マン教育が得意とか、小売業が得意とか、飲食業の経験がある等、様々なバックボーンがあってコンサルタントを目指したいと思っています。その経験をどのようにPRするか、知名度がない新規コンサルタントが安定した収入確保をするにはどうすべきか、恐らく一番心配なところです。

ここで申し上げたいのは、繰返しになりますが「スポット業務に忙殺されて、固定収入確保の戦略的な仕掛けを手薄にしない」事です。

 

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