嶋田利広ブログ

コラム

社長の奥さんのスタンスをちょこっと変える

社長の奥さんとは、どういう立場でしょうか?社長の片腕として、管理の要として、経営になくてはならない存在の奥さんは、中小企業には、多いものです。これを『夫婦経営』と言います。

特に社長という人種は、創業時から奥さんには結構苦労を掛けている人が多く、頭が上がらない人も多いようです。また、社長が技術畑、営業畑の場合、どうしても総務や経理は社長夫人が担う事になり、社長としても 奥さんだから、安心して任せられ『後顧の憂い』もなく、前線で頑張ってこられたのです。ですから有形無形問わず、夫人の貢献は相当高いものがあります。問題は、小規模の家族経営時代なら、問題も少ないのですが、ある程度会社規模が大きくなると、過去の貢献を相殺して、弊害の方が大きくなる事もあります。

経営者夫人の存在と貢献は、会社規模との戦いであるといっても過言ではありません。下記に述べるのは、私たちが今まで、コンサルティングを行う際に、経営者夫人のあり方を教育するチェックポイントの一部です。

  1. 目先の業績や支払い、借入だけに目を奪われず 将来への投資や変化に対する経営のバランスを取りながら社長を補佐しているか(目先の事だけに注力し、将来の経営判断を阻害している事はないか)
  2. 気分が滅入っている時、イライラしている時など自分でも冷静さがないと思った時は、大きな経営判断や人事判断に影響を及ぼさないよう発言を控えている。
  3. 経営者に相談や事前の根回しをせずに重要な事を勝手に決めてしまったり、社員に指示するような事はないか
  4. 社員の人事評価は自分との相性や好き嫌いや感覚ではなく、客観的な基準で冷静にしているか(社長の評価判断にも冷静に自分の意見を言っているか)
  5. 同族社員(特に息子)へのあからさまなひいきや、肩入れやかばう発言が目立つ事はないか(自分では気付かない事が多いが、同族ほど甘い気持ちにならないようにしているか)
  6. 社長や役員等の男性幹部が気付かない箇所を、女性特有の感性で、心配りしているか(特に社員への労いや、接客等)
  7. 女性社員の教育とケア、女性同士の問題解決は、社長夫人の仕事として、好き嫌いに関係なく対処しているか(女性社員の不平不満の吸収や、能力開発が進むよう、積極的に貢献しているか)
  8. 社員の前で「夫婦喧嘩」と思われるような口論や、感情論にならないよう控えているか(問題がある場合は、役員同士や第3者を交えて、話し合っているか)
  9. 社長と社員との間に溝や誤解がある場合、上手なパイプ役になり、社員からの良き相談相手になっているか

要は奥さんの貢献のあり方は、奥さんでしかできない事に注力すべきだと言うことです。

 ある飲食店の事例です。 社長は厨房で調理を行い、奥さんがホール係をしています。従業員もパートやアルバイトが数人いますが、これがなかなか続かずすぐ辞めていくのです。理由の一因は、どうも奥さんにあるようなのです。奥さんは お客様の立場で的確に指示し、接客も一流です。当然、よい店にする為、従業員にも奥さんの価値観を教育しますが、その言い方がキツイというのです。奥さんの言っている事はイチイチごもっともで、正論ですから、反論する余地はありません。だから、従業員は逃げ道がなくなり、辛くなって、辞めていくというのです。そういう店や会社はかなり多いのではないでしょうか。

 ここでひとつのアドバイスをしました。小規模事業所で忙しく、奥さんは毎日指示ばかりで、従業員の声を聞く機会もないのです。そこで、店が始まる前又は、午後の休憩時間に少しだけ、『従業員の考え』や『今日の仕事できつかった事』『こうすればよかったなあと反省した事は何か』を、聴くようにしました。

 それも、今までの奥さんなら、従業員が何か言うと『それは、あなたねえ、○○しないとダメよ』などと、一方的にしゃべってしまうので、先に『コーチング』を教えて、傾聴トレーニングをした上で、従業員の声を聴く会議を開催してもらいました。そうすると、数回重ねる内に、従業員の意見がいろいろ出るようになったのです。そうすると、離職率の減少し、接客技術も上がっていきました。

 いかがでしょう。奥さんのちょっとした心がけで風土や雰囲気はゴロっと変わるのです。うまく奥さんに伝えてあげてください。

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