コンサルタントファームでの修業時代② 苦行と親父の言葉

SWOT分析、KPI監査、事業承継見える化コンサルタントの嶋田です。

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今から30数年前、私が在籍していたコンサルタントファームでは、というよりその頃のコンサルタントファームは、得てしてそうだったかもしれませんが、「ノウハウは自分で学ぶもの」という風潮でした。

その証拠に、コンサルティングマニュアルが揃っているわけでもなく、先輩上司が手取り足取り教えてくれることもなく、offJTの期間もほとんどありませんでした。

では、どうやってノウハウを吸収するのか?

先輩上司と同行し、そこで盗むことしかないのです。

しかし、いろいろな先輩上司に揉まれながら、最初は苦行の連続でした。

1, 怒られる事が当たり前

とにかく最初の1.5年は、ブラザーである主任や課長から事あるごとに怒鳴られまくっていました。

今ならパワハラの極みでしょう(笑)

怒られる理由のほとんどが「気が利かない」「先を読んでいない」「相手に見せる資料や作り方ではない」等の基本的な事でした。

同期入社も何人かいましたが、若手は全部1年以内に退職。

残ったのは私と転職組の2名だけでした(この転職組の2名はその後も長く在籍)

上司である先輩は「躾」として叱ってくれるのですが、その𠮟り方が

「人格否定は当たり前」「反論すればそれ以上に攻撃される」そして聞かされるのは「自慢話ばかり」。

本当にこの人が嫌で嫌で社長に泣き言を言いました。「この上司の指導が辛い」と。

するとその社長は「それも経験。逃げるから攻められる。前向きに立ち向かえばやられない。だから担当上司は変えない」と。

他の上司も、その担当上司の悪態や言動を見ていた訳ですが、誰も私たちに助け舟を出さず、見て見ぬふりをしていました。

その担当上司が生産性を上げていたし、性格も強く、武闘派だったこともあって、役員さえも何も言いませんでした。

その苦行は実質1年半続きました。

しかも年間休日は30日あったかどうかでした。

若いとは言え、結構ボロボロだったと思います。

 

2,どの先輩上司も「KKD」で体系的なノウハウがない

その担当上司も社長も他の上司もそうですが、個別コンサルティングにおける「型決めされたノウハウ」というものがありませんでした。

各自各様で、学習した事をコンサル現場で使っていました。

基本理論はあるのですが、それはノウハウ本の範疇で、我流でカスタマイズしている感じでした。

だから、「誰のノウハウを学べば良いのか?」分からず、担当上司に相談すると「そんな事は自分で見つけろ」とけんもほろろです。

その上司自体も特定の型決めされたノウハウは持たず自分の感性で行う「K(経験)K(勘)D(度胸)」のコンサルでしたから。

で、他の先輩のノウハウを聞こうとしたら、その人は大手コンサル会社の出版物を丸写しして、それを加工編集して使っている始末。

経営理念づくり、基本動作研修、営業研修、幹部研修などの基本パターンはありましたが、他のコンサル現場ノウハウは各自任せです。

自分が担当顧客をもって動き出した時、オリジナルで作らざるを得ない状況だった事が、その後のクリエイティブな思想につながったのかもしれません。

怪我の功名かも。

 

3,退職を踏みとどめた親父の電話

毎日辛い日々の中で、もう辞めたいと思うようになりました。

何回か退職願を書いては出しそびれ破棄していました(毎回日にちを書くから)

3回目の退職願を書いたのが、入社1年経ったくらいでした。

地方の実家の親父に、「実家に帰ってやりなおしたい」と電話をしました。

すると親父は烈火のごとく怒りました。

それもその筈、大学4年生の時、地元JAにコネで就職を決めていたのに、私が翻意し「コンサル会社に入る」と親の顔に泥を塗って、就職した経緯がありました。

そこで親父は「たった1年くらいで尻尾を巻いてくるとは何事か。いっぱしになるまで家の敷居はまたがせん」と言われ電話を切られました。

今だったら

「きついなら帰っておいで」という親が多いことでしょう。しかし昭和一桁生まれはそんな事は言いません。

 

しばらく茫然自失していたと思います。

「こりゃ、3年もせずに転職したら二度と帰れない」

と恐怖と覚悟、腹を括らざる気持ちになりました。

3回目の退職願をその場で破棄し、「よし3年間だけ頑張ろう。そしたら転職しよう」と。

面白いもので、人は期限を決めれば何とか耐えられるものです。

 

4,上司の使えないトーク、真似すれば生産性が上がる社長のトーク

3年は頑張ろうと割り切った時から肩の力が抜けて、上司の小言や暴言も「あと2年だけ我慢すれば」と思うようになり、心が傷つく事もなくなりました。

そんな時、新卒でもできるコンサルとして「性格診断」「モラールサーベイ」を提案し、自分で施工、報告し生産性をあげよと指示が出ました。

性格診断も今風の科学的分析手法ではなく、広く認知された心理学を使ったものでしたが、分析はマニュアル本を見ながら自分たちで行うものです。

モラールサーベイはいろいろな設問のアンケートを取りそのデータから、必要な施策を読み取り提案するものです。

両方とも、ある上司の書いたものを真似して分析報告書を書きました。

その提案を経営者へ行う際に、「話法」を先輩から教えて貰おうと聞きました。

先輩方は頭のよさをPRしたいのか、小難しいトークを言われましたが、なかなか私自身には腹落ちしません。

また実際に見込み客経営者に使ったところで反応もありません

空理空論の話法だったのです。

確かにその先輩方が生産性を上げていないのだから、聞く相手を間違えていたのでしょう(笑)

ある日、ファームの社長がそのトークを言ってくれました。

それは簡単な話法です。

その話法通り見込み客に提案したら、「嶋田君、さっそくやってくれ」と受注依頼を受けました。

金額が安いのですが、ファームの社長トークをパクりまくったら、どんどんコンサル企画書提出の機会が増えました

当然、自分自身はクロージングを掛けたり施工できるレベルではないので、私がニーズを掘り起こし、社長面談にスイッチして、社長が契約を取る、という形態です。

このパターンでファームの社長と私は多くの案件を受注しました。

この頃になると、生産性が増えた事で「辞めたい」という気持ちはなくなり、たくさんの案件の営業窓口として忙しくなっていきました。

ここで分かった事は「できる人のまねをすれば良い」という事だけです。

できない奴、格好つける奴、知ったかぶりの奴は、「できる人のまねをせず、最初から使えない我流をしている」のです。

実際にそのコンサルタントファームでも、基本に忠実な人間以外は、早々に辞めていきました。

 

5,若くても所長としてTOPの生産性を上げた

入社2年目後半には私に転勤命令が出ます。

ある小さな拠点の責任者として赴任せよと。

コンサル営業での売上を上げる事は何とかできるようになりましたが、コンサル現場経験はありません。

何故ならまだ25歳そこそこの若造です。

しかし、転勤でその拠点に行ったら、誰も上司もコンサルもいません。

私と事務員と採用したての28歳の素人のみ。

既にコンサル案件があり、私は引継ぎも受けないまま、コンサルをする為クライアントの元へ。

最初はクライアントから

「あなたは何も聞いてなくて、うちの指導をするのか?」

とお怒り。当たり前です。

前任の所長が急に辞めたから、私の急な転勤だった訳です。

何をどうしていいか分からないので、ファームの社長に相談したら

「とにかく経営計画書を創れ、そしたら何とかなるから」と。

その作り方も教えられず、本を見て見様見真似で先方経営者や幹部と一緒に作成しました。

そして内部で経営方針発表会をし、ファームの社長にも激励講演をしてもらい、その終了後、そのクライアントから

「最初はこんな若造をよこして、うちも舐められたと思っていた。しかし経営計画を一緒に作る過程で一生けん命にしてくれるから、しばらくお願いしようと思った」

と言われた時は嬉しかった。

この地方で3年半所長として頑張り、後任につなぎました。

その間、この拠点は一人当たり売上と利益が全国TOPを維持しました。

また、若干28歳位の若造でも経営顧問を10社位ずーっと続ける事も出来ました。

 

この修業時代に学んだことは

「耐える」…どんなに嫌な相手でも、こちらが力をつければいいだけの事。簡単に投げ出さないことが大事

「真似る」…できる人の技術をまねる。すると自分流のアイデアが沸いてくる

「あてにしない」…上司も社長も皆忙しく助けてくれない。自分で何とかする

「一生懸命」…クライアントが喜ぶよう手抜きをしない

 

まだまだ時代がよかったのかもしれません。

若手で一生懸命なコンサルもどきでも、使ってくれる時代でした。

ただ、ノウハウよりも、やっぱりクライアントへ向き合う姿勢が一番評価される訳です。

それは今の時代も同じですね。

 

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