嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

短期的成果ばかり追うコンサルは企業のあしかせ?

企業経営者もコンサルタントも昨今、短期的な成果を求めています。

「即30%売上が増える」

「3か月以内に10%の利益改善」

「2か月で、幹部の行動を変える」

どれも魅力的な響きです。

こういう短期的な成果は、すごく魅力的だし、コンサルティングのだいご味でもあります。しかし、果たして、それでいいのか?ちょっと立ち止まって考える時があります。それは「短期的な成果が、結果的に長期的な成果を邪魔している」のではないか、という事です。

1、経営とは「継栄」であり、本来長期的視点

時代が短期的成果を求めているとしても、本来の経営とは、継続的に繁栄する、すなわち「継栄」と言い換える事ができます。「継栄」とは、10年、20年、30年又は2世代、3世代と長く、その事業体が続く事です。面白いもので、老舗とか100年企業の経営者とお付き合いすると、多くの経営者は「長期的な視点」を大事にしています。今日の目の前の収益の為だけで、経営判断をしません。

但し赤字が見えていたら、当然手は打ちますが・・・商品づくり、ブランディング、人財育成、顧客との付き合い・・・

それぞれ、相当の時間が掛かる事を覚悟し、地道に取り組んでいきます。事業の拡大戦略ばかりではなく、「お客様から選ばれ続ける為の努力」を連綿と繰り返します。だから、「愚直」という言葉がぴったりで、そんな企業は、安定して継続していきます。本来に経営コンサルティングとは、長期的な成果に貢献すべきな筈です。

2、短期的成果は長期的成果を犠牲にする

短期的成果は、即効性がある分野に注力します。「短期的成果」は、簡単に言えば、「あるモノを犠牲にして、即効性をだす」事です。その犠牲されたものはほとんど、「長期的にプラス」になるモノです。「長期を犠牲にして、短期成果を出す」これが、多くの「短期的成果」の正体です。

例えば、「利益を30%増やす」ためなら、経費さえ落とせば可能です。しかも、賞与も増やさない、設備投資に伴う減価償却費も増やさない、広告宣伝費も削る、人財投資に削る、原材料の品質を落とす、外注費を叩く  等々

しかし、その結果、何が待ち受けているか、まともな経営者なら分かっています。しかし、利益を出す為に、その経営判断が揺らぎ、「やってはいけない短期的成果」に意識が向く訳です。そこには「利益を出さなければならない理由」もあるでしょうが。そういう「減らす・削る・止める」事を提案する事で、短期的成果を出す事を指導するコンサルタントも結構多いものです。

3、いつも「短期的成果」を追い求めると企業体力が衰弱

私たちも短期的成果の為に集中したコンサルティングをする場合があります。それは特定テーマで、特定の結果を早期に出す為に「突破口作戦」という表現で行います。「突破口作戦」とは、ある一か所にエネルギーと対策を集中する事で、他の分野まで好影響をもたらせる事です。主にSWOT分析をした後、「機会」×「強み」から導いた「積極戦略」で、その内、取っかかりやすく成果の出やすいモノが、それにあたります。但し、毎年毎年、毎月毎月、「短期的成果」や「短期的利益」を目標管理しているとどうなるか、直ぐにネタが尽き、組織風土も長期的な取り組みを止めていきます。

分かりやすいのが、商品開発と顧客開拓です。商品開発には時間も投資も必要ですが、それを怠ると、同じ商品を同じ顧客に売るばかりで、顧客から飽きられます。それ以上に「開発意欲」がなくなり、手っ取り早く「仕入れ」「代理店」で済まそうとします。また、顧客開拓も時間が掛かるものですが、競争力にない既存商品で、顧客開拓をすると、低単価競争しかなく、顧客が増えても利益が悪くなるという「貧乏暇なし」になりかねません。従って、ドンドン企業体力も、企業風土も衰退していくわけです。開発と開拓は、組織に新風を入れます。だから活性化する訳です。

4、コンサルタントは長期的成果に比重を置くべし

突破口作戦や緊急状態(経営改善、再生、リストラ)は、生きる為に「短期的成果」のコンサルティングをするべきです。今、家が火事なのに、消火活動をせずに、燃えないボードに張り替えるような真似はできません。しかし、経営はそういう有事と平時が交互にきます。いつも有事みたいに「短期的成果」をコンサルティングのメインに置けば、結果的にクライアントの未来の芽をつぶしているかも知れません。

ちょうだから、長期的成果を常に意識する必要があります。そして、コンサルタントも経営者も長期的成果の意識を高める為に、「中期ビジョンづくり」というコンサルティングがあります。3~5年間で、この企業をどういう方向性にもっていくべきか、を決めるのです。そのツールとして「SWOT分析」がある訳です。

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