嶋田利広ブログ

コラム

嫌われコンサルタントにならないように

大手コンサルティングファームから独立したA君。優秀な彼は小売専門店・飲食業の「マーケティング戦略」が得意で、全国を飛び回っていました。彼は、ある分野でレベルの高いクライアント先で得た知識経験を、少しレベルの低いクライアントへいろいろなノウハウを教えていました。

どのクライアントからも「自分達の知らない先進情報を教えて貰える」と喜ばれました。彼もそこにやり甲斐を感じていました。だから、ドンドン教えるのです。しかし、彼とクライアントの契約は長くて1年、平均6か月で終了するコンサルティングがほとんどでした。 

彼は継続収入も欲しいので、当初契約期間が終了する間際に、あるクライアントの飲食業オーナーに「もっと継続して指導したい」と正直に提案したそうです。すると、そのオーナーはこういいました。

「先生、まだ当社のレベルが低いので、先生のコンサルティングやノウハウを学習しても、消化不良を起こして、なかなか実践できません。先ず、これまで教えられた事を実践してから、また相談します。」と

彼はこういうように契約通り、終わるケースが多いそうです。彼は、何故契約期間を超えて、継続収入にならないのでしょうか?コンサルタントの中には、「コンサルティング」をチョット誤解している人が多いように思います。

コンサルティングの誤解とは?

その「誤解」とは・・・ そもそも「コンサルティング=指導する・アドバイスする」と思い込んでいる人です。専門知識を教えるコンサルタントなら、それはメインになるでしょう。しかし、「経営判断」とか「戦略立案」とか、コンサルティングする人は、「教える・指導する」スタンスだと、何年間も経営顧問料や継続収入を貰う事はできません。何故なら、経営者は「アドバイスが欲しい」より「自分の考えはどうか、判断の意見が欲しい」「一緒に考えて欲しい」と思っている場合が多いからです。確かに、何でも答えをコンサルタントに求めてくるクライアントの経営者はいます。が、ある程度の企業規模やレベルの経営者は、「判断を提供して欲しい」「自分の判断がどうか一緒に議論して欲しい」と思っているのです。

それなのに、得意がって「社長、こうすべきです」とか「社長、この対策をしましょう」とアドバイスをする事で悦に入っているコンサルタントがいます。そういうコンサルタントは、正直、長期顧問にはなれません。ある程度の企業やレベルの経営者は「コンサルタントの知っているご託宣を聞きたい」訳ではないからです。むしろ、相談したい訳です。なかなか役員にも言えない事や、自分自身で自信が持てない事を・・・ それは「話しを聞いて欲しい」と言う事です。

大事な事は「コーチング」

もっと違う表現をするなら、「コーチング」をして欲しいと言う事です。だから、アドバイス癖のついたコンサルタントは、飽きられます。売れっ子のコンサルタント、しかも長期継続クライアントを多数持っているコンサルタントは、これが得意なのです。 コンサルタントより、コーチやメンターの方が需要があるのかも知れませんよ。

私が20年近く経営顧問をしているクライアントの経営者へ、ある大手コンサルタント会社が企業診断の提案をして来ました。それも1000万円を超えるもの。 しかも、コンサルタント会社の情報を駆使して「マーケットリサーチ分析」を行い、「御社のこれからの商品戦略を提案します」と自信を持って言ったそうです。

その社長が私に言いました。

「先生、我々が日夜命がけで取り組んでいる業界の今後、顧客の声、商品戦略が、我々以上にコンサルタントの方には分かるんですかね?仮にも私は業界団体の情報分析の理事ですよ。我々以上にあのコンサルタント会社は何を知っていると言うんですかね」と。

私もその話しを聴いて、ごもっともだと思いました。その大手コンサルタント会社は、まだ旧態依然の営業スタイルを取っているのだなあを感じました。

【コーチング+コンサルティング=鬼に金棒】

どうしたら、聞き上手、質問上手、考えさせ上手、ヒント上手になるでしょう? 提案力もある、知識もある、経験もあるコンサルタントやビジネスマンに「コーチング」力が身につけば、まさに鬼に金棒。コンサルティングのコーチングは、一般のコーチングと少しだけ違う箇所があります。

それは、「ヒント」に経営知識が含まれる事です。 経営知識の無い「問いかけ」を何回もしても、経営者はそのうち飽きてきます。

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