嶋田利広ブログ

コラム

コンサルタントファームでの修業時代③「課題噴出の新人コンサルタント」

SWOT分析、KPI監査、事業承継見える化コンサルタントの嶋田です。

コンサルタントファーム時代での修業時代課題噴出の新人コンサルタント.jpg

今回も約30年前のコンサルタントファーム時代の回顧録をご紹介します。

今とはだいぶ時代背景も違うし、コンサルタントの意識も違う時代でした。

しかし、今の時代も新人コンサルタント志望者が入社すると、彼らをいかに短期間で育成し、生産性のあう人材にするかは、ひとえに幹部コンサルタントのあり方にかかっています。

それは今でも変わらないし、これができないと

「直ぐ退職」

「甘やかしすぎて、使えないダメコンサル育成になる」

「我流を押し通し、ファームのノウハウをいびつに捻じ曲げる」

「生産性がいつまでも上がらず、口ばかり達者な言い訳コンサルを育成する」

などなど、いわゆる「困ったコンサルタント育成」をしてしまうのです。

では、どう新人コンサルタントを育成すべきか、私の過去の反省を踏まえて、一緒に考えたいと思います。

1,我流が消えない年配新人コンサルタント 

私自身が早い段階からマネージャーをしていた事から、ファーム時代は70%が年上の部下でした。

立派な職歴がある中年の方が「コンサルタントへ未来を感じて転職」してくるわけです。

このファームではoffJTと呼ばれる期間が少なく、とにかくOJT中心で育成するのが原則でした。

それは「生産性を上げながらコンサルタントの道を歩む」

という指針があったからです。

これは当然の事で、「勉強させる為に給与を払う訳ではなく、何らかの売上や業績貢献をしながら、コンサルタントの勉強」をしないと、新人を遊ばせる余裕のある拠点はありませんでした。

これはどのファームでも同じでしょう。

中途採用の中年新人コンサルタントに現場同行で、コンサル現場や営業現場を経験させて、本人が実務を通じて学ぶのです。

また経営診断やマニュアルづくり、経営計画書作成コンサルもスタッフとして手伝わさせます。

このファームにも曲がりなりにも、いろいろなフォームやルール、事例が相当数あります。

本来新人は、その基本的なノウハウに沿って行うよう教育するのですが、中途入社で自分なりの考えがある方は、ファームのノウハウではなく、我流を出そうとします。

その中途採用者は、「ファームのノウハウより、自分の進め方が良い」と思ったのでしょう。

しかし、ファームが10年、20年続いているのは何らかの本質がクライアントに認められているからであり、何でも否定されるものではありません。

「前の会社では、こんな事はしなかった」

「私の経験では、これより〇〇した方がいいと思うので」

等、いきなり我流をしてしまうのです。

そう言えば、3年経ったコンサルでも当時のファームのノウハウを否定し、大手コンサル会社が公開しているノウハウを丸パクリする人もいました。

彼らが分かっていなかったのは、ノウハウはもちろん大事だが、それ以上に「コンサルの持つ人柄、人格、基本動作、コミュニケーション力」などの「基礎的ビジネスマンスキル」の重要性についてです。

結果、我流や自分のファームの本質を見いだせない中年コンサルは、やはり潰れていきました。

こう書くと「辞めた人が悪くて、ファームや私が正しい」と誤解するかもしれませんが、そうではなく「辞めた人にも辞めた人なりの正義」があります。

どちらが正しいかは分かりません。

ただ、今でも第一線で活躍し、高生産性を上げているファーム時代の仲間は、ほぼ同じ価値観です。

 

 

2,大風呂敷でクレームを出す新人コンサルタント

これも何人かいました。

その中の一人が印象的でした。

コンサルタントへの憧れから入社してきた方で、あまりビジネス経験のない人でした。

しかし、話し方に妙な説得力があり、ファーストインプレッションがいいので、受注情報を持ってきたり、担当コンサルとしてクライアントを早い段階で付けました。

「言葉が理路整然でそれなりの説得力がある」

これだけ聞くと、優秀なコンサルタント見たいです。

しかし彼の根本的な問題は「嘘をいう」「大風呂敷を広げる」事です。

ちょっとニュースや聞きかじりのコンサルティング情報を鵜呑みにして、証経験もないのに「この手法は効果があります」と言って受注するのです。

見込み客も「そんな効果があるなら、お願いしてみよう」と思うのでしょう。

しかし、根拠がないコンサル手法ですから、途中で辻褄が合わなくなります。

すると、クライアントから不信感が出て、「話が違うじゃないか。全然効果が出ないじゃないか。金返せ」とクレームが出てきます。

すると、もう本人では収拾がつかず「責任者を連れてこい」となります。

その場合、拠点長や部長である私の役目になります。

実際には経営者が受注した案件で、私以外のコンサルが起こしたクレームも、経営者は前面には出ず、私が処理をさせられたケースも結構あります。

そして拠点責任者、エリア部長である私が処理に行けば、当然「じゃあ、今度は嶋田部長はしてくれるんですね」となります。

というのが、返金はなるべくしないという方針だったし、何でもクレームがあれば返金にするとファームの経営は成り立ちません

だからクレーム処理は、「費用が貰えないコンサル」を私自身が行う事で、より一層時間が取られ辛いことになっていくのです。

 

3,新規訪問が苦手で同じ会員へ何回も訪問する新人コンサルタント

当時、クライアントの予備軍、見込み客として会員制度がありました。

経営者クラブみたいなもので、「セミナー受講者や紹介」で、直ぐにコンサルは受けないが年間数万円の年会費で、勉強だけはするという経営者を組織化していました。

この組織があることで、タイミングとニーズが合えば、次のクライアントにつながるので、大事な活動でした。

新人は主に会員への定期訪問をして、課題探索や提案、セミナー案内などをします。

当時の会員組織には、セミナー無料招待、毎月の講演テープ配布などがありました。

新人コンサルはこの会員に定期訪問することを仕事にしていました。

そんな中、ある新人コンサルは月1回でいい会員フォローを毎週1回行くのです。

しかも同じ会員に。

よく会員も会ってくれたなあと思いますが、相当暇な経営者だったのでしょう。

それより、何故「会員紹介貰ったり、セミナー案内の紹介を貰えないのか」指導をする為、何回かロープレをしてみました。

すると、トークも提案もヒドイ。

新規の訪問では「話を聞き出し、課題を知ったうえで、ファーストステップの提案」をするのが本筋。

なのに彼は自信のなさから、いきなり「セミナー説明」「コンサル提案」をするのです。

新規面談でビビっていることがよく分かります。

別に営業マンになれとは言わないが、コンサルタントに営業力は不可欠です。

何故彼が入社したのか疑問でした(当時面接したのは、私の上司の役員だった。私なら採用しない)

 

4,セミナー後いきなりコンサルで提案で、見込み客を次から次へなくすコンサルタント

コンサルファームにとってセミナーは見込み客発掘の大事な機会です。

このセミナーに既存客や新規をいかに集めるか、特に新規客はその後のコンサル提案につながるので皆努力をしました。

色々なセミナーを企画(経営者がメイン講師で、私がサブ講師、又はゲストスピーカーと経営者がサブ講師)をして新規客を集めます。

今でも基本的には同じパターンでしょう。

せっかく受講した新規客へアポを取り訪問してもらうのですが、ことごとくnext訪問の予約さえ入らないコンサルがいました。

彼は初回面談なのに「ぶっこみ過ぎ」なのです。

セミナーを聞いたからと言って、すぐコンサル依頼はありません。

それなのにどんどんぶっこむから、せっかくの新規が次へつながらないのです。

こういう勿体ない事は多々ありました。

実は新人だけでなく、中堅や拠点長クラスでも「受注が欲しいから焦ってセミナーフォローで即刈り込み」をしていた事もあります。

往々にして、「刈り込みが早い」とどんなにベテランでも新規客を逃がすパターンになっていました。

 

 

コンサルファームではいろいろな出自のコンサル志望者が入社します。

あるコンサルファームは、ガチガチの定型化されたスタイルを強要し、コンサルタントを同じ色に染める手法を取ります。

またあるコンサルファームは、ノウハウの中核部分や指針は順守するが、後はコンサル任せという緩いスタイルをとっている所もあります。

新人コンサルタント育成は今の時代、「本人の強み」から本人ならではのUSPを明確にして、自信を持たせる事が必要だと思います。

 

 

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