補助金があっても、新規事業が失敗するのは「視点が間違っているから?」②
SWOT分析と事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
今回の事業再構築補助金で初期コストのリスクがなくなった事で、「誰でもこれ見よがしに」事業計画書を提出しています。
運よく採択されても、新規事業・多角化に対して「考え方」と「行動」が間違っていれば、表題通り「補助金をドブに捨てる」ことになります。
そうならない為にも、今回の22項目は是非とも参考にしてほしいと思います。
これは企業だけでなく、アクセラレータでもアントレプレナーでも同じです。
前回、10項目の「新規事業が途中挫折する理由」について解説しました。
今回は残り12項目です。
11,経営TOP又は、それに準じる責任者が直接マネジメントを行い、意識が高い
失敗しやすいパターンは、経営者が最初だけやる気だが、その後は誰かにまかせっきりの場合である。
軌道に乗るまでTOPが集中して取り組む事が肝要
12,事業に本格参入を決める前に「可能性」が見える位のテストマーケティングを実施している
テストマーケティングは「仮説」を立てて、何回も「検証」作業をする事である。仮説検証の量とその後の収益が結構比例するものだ。
今回は事業計画書段階で相当な「仮説」を考えたはずだ。
しかし、実際にはテストマーケティングもしてない所がほとんど。
動き出してから「仮説検証」になるので、焦らず行う事だ。
13,新規事業責任者を孤立させないようにする。(本業の社員が協力している)
本業と異なる新規事業の責任者や担当者が、本業の社員から積極的な協力が得られず、むしろ《白い眼》で見られる場合、その責任者は辞めていく可能性が高い。
TOPが現業部門から積極的に協力させるよう、徹底すべきだ。
14,共同出資や、代理店ビジネス等で、自社での経営支配ができないビジネスは後々起こりうるトラブルを契約条項に入れるよう交渉している
ネガティブ分析を徹底して行えば、「契約条項」への疑問も出てくる。
「悲観的に準備して、楽観的に行動する」が新規事業の基本である。
15,「上手くいく場合の事業計画書」「上手くいかない場合の事業計画書」を2つ用意し、上手くいかない要素を消す対策を事前検討している
「上手くいかない事業計画」は別名「破局のシナリオ」と言い、悪い事や悲観論を数値に入れて、それでも最悪にならない対策こそ、真の対策である。
今回提出している「事業再構築計画書」では、「うまく行く計画書」である。
しかし、その裏では「うまく行かない」ことを前提に、具体策を重層的に行うべきだ。
16,新規事業責任者は、本気でその事業に人生を掛ける位の意気込みがある
サラリーマンが「何かの新たな役職が付いた」程度の意識ではダメ。
心底ほれ込み、寝食忘れて取り組む位でないと、事業成功はおぼつかない。
17,収益が上がるまでの必要資金をシビアに計算している
新規事業の為に有り余る資金はかえってマイナスだが、悪い事を予測した資金計画の方が、精神的にも楽である。
今回はまさに補助金がある事で余裕をもって取り組める。
但し、それが「甘さ」につながらないようにすべき。
18,新規事業担当者が経営者以外なら、エース級に人材を配置している(出がらし人材では最初からムリ)
新規事業成功は難しいビジネスである。
将来有望な人材こそ、武者修行として、出世のステップとしてやらせるべきである。
本業で余った人材で成功すべくもない
19,「売り切り御免」の販売システムではなく、売った後でも収益につながるアフターのビジネスモデルが入っている
ビジネスは継続が基本。
一元客や一発商品だけでは成り立たない。
20,初期の販売高を低く抑え、継続モデルで少額だが付加価値率の高いサービスやパーツ販売等になっている
既存商品での後発の場合、先ず低価格でないと土俵にも上がれない。
後発で同様商品でも高単価が可能なのは「トンガリ」と「付加価値」がある事が条件。
しかし、土俵に上がったら、低単価高粗利の継続商品を売り続ける事も大事。
21,顧客を見つける手段が、ダイレクトマーケティングで多額の広告費や人海戦術ではなく、本業の経験を活用できるものである
原則、本業の顧客や仕入先、関係先が少しでも使えるビジネスなら、多額の広告宣伝費は抑制でき、実績を積むことが可能。
それがないなら、直接顧客管理ができるダイレクトマーケティングを実施すべきだ。
22,販売代理店を活用するビジネスモデルの場合、販売代理店の収益や売上が継続的に発生する商材や価格を用意している(市場価格を先に決めて、販売手数料を決めていくと原価の上限が見えてくる。その原価で売り出せるかか鍵)
販売代理店は継続収入になる方が喜ぶ。また、高単価で売りにくい物は敬遠されがち。
2回にわたって、「新規事業成功の視点と体制」について22項目を紹介しました。
この内容はもともと、自前資金で新規事業に取り組む事を念頭にしているので、事業再構築補助金があれば、それだけ成功確率は高くなります。
但し、「体制と視点」を間違えないように。
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