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意見が出る「SWOT機会分析」裏テクニック - タラレバのヒント -

前回、機会分析ではマクロ的な聞き方をしても、中小企業では、SWOT分析検討会参加者にはピンとこない、とお話ししました。
今回から何回かに分けて、SWOT分析「機会分析」で、ドンドン議論が進む、裏テクニックをチラッとお見せします。

これは私が100数十のSWOT分析コンサルティングから得た経験則ノウハウです。
詳細は本でも書いてますが、「タラレバのヒント」でSWOT議論を活性化する訳です。

タラレバとは
「もし、この商品に○○したら、□□にもっと売れないか」
「もし、この市場に、○○の機能を付けたら、こんな使い方できないか」
など、
「もし●●したら…」
と言う仮説で考えていくことです。

この「タラレバヒント」を多用する事で、私のSWOT分析コーチングメソッドは飛躍的に向上したと思ってます。今回は商品の「機会分析」について3点、裏テクニックをご紹介しましょう。

  1. 同業者や異業種を参考にして、高付加価値のニーズに対応した「高価格商品」を実現するには、どんな具体的な商材・サービスを開発又は開拓すれば可能か
    • この設問は、高単価戦略を取る為にはどんな条件や可能性があるかを引き出す質問です。最近では、「値上げ戦略」に理由づけとしても活用しています。消費市場は多極化しているので、値上げして新たな付加価値を受け入れるゾーンがあります。そこを見つけ出す質問です。
  2. 現在の商材に対して、サービスや機能、容量、頻度、手間を大幅に減らし、デフレに応じてどういう「低価格商材」を実現すれば、販売チャンスは広がるか
    • この設問は、徹底した低価格戦略を取る為にタラレバです。当然、スペックを落とし、「そんな機能だけでも十分」だと言う顧客・ユーザーゾーンがあるので、そこのニッチや市場を探します。ここで注意したいのは、商品に自信がない企業はスペックを維持したまま、値下げと言う一番やってはならない事をしている場合があります。
  3. Web、facebook、ツイッター等、ITの更なる普及をどう上手に利用すれば、販売増になるか
    • これは、リアル販売に最近のSNSやWebがどんな新たな販路、戦略に活かせるかを議論して貰います。ほぼ、どんな事業所でも、ここでも対策がそのままクロス分析で積極戦略を出すケースが増えています。
  4. 「顧客(消費者)の「品質面」のニーズに答えるには、どういう具体的なサービスや機能提供、品質体制をつければ可能か」
    • この質問は、顧客やユーザーが価格でも納期でもなく、製品品質や物流品質等に重きを置くニッチユーザーや顧客が誰か、どうアプローチすれば、認知度が高まるかを議論します。このゾーンの顧客やユーザーは必ずいるので、低価格競争ではなく、品質重視で勝負したい企業には重要なポイントです。但し、「かなり差別化された品質」が求められます。
  5. 「顧客(消費者)の「嗜好性」に、どういう商材・どういうサービスを開発すれば、販売拡大が可能か」
    • この質問は、どんな嗜好性や趣味、好みに合わせた商品・サービスを提供すれば、可能性が生まれるかを聴きます。嗜好性の限定もニッチ市場です。全国マーケットを相手にする事がおおくなります。
  6. 「顧客の不便さの解消につながる商材やサービスは、どういう点を強調すれば販売増が可能か」
    • これまで中小企業の商品開発はほとんど、顧客やユーザーの意見から生れています。この意見を聴きだすノウハウがある企業は、この質問にはいろいろな意見が出てきます。しかし、この手の議論は、「その意見に対応した商品で利益はでるのか」と逆質問が出ると、途端に議論がストップします。しかし、現に顧客が不便を感じているいる事は、必ず商機になるので、しっかり議論して欲しい個所です。
  7. 「敢えて「無料」「フリー化」を進める事で広がるビジネスはどんな事が考えられるか」
    • この質問は私がほとんど必ず行います。「無料だと儲からない」「無料にすると有料にできない」と反論されますが、「無料の目的」さえ明確なら断行すべきです。一般に無料とは、「新規客・見込客の募集」が目的であり、無料提供は経費のみが出ます。しかし、そのおかげで新たな顧客との出会いがあるのだから、これは結果的にコストではなく、投資扱いになります。
  8. 「自社の位置づけを「納入業者」から「仕入先」または「外注先」「アウトソーシング先」に変えた場合、どういう商材なら可能性があるか」
    • これは取り扱い商材を拡大した時の可能性です。例えば文房具類を納品している場合、それは販管費でのお付き合いですが仮にその企業が赤帽等の物流業務を請け負うとすると、それは原価の業者になると言うことです。せっかく取引口座があるのなら、受け皿を拡大する事で、少しでも取り込めないかと言うことを討議します。
  9. 「現在の市場(営業地域)だけでなく、域外、海外などのエリア拡大をすれば、どういうチャンスができるか(販売面や調達面も含めて)」
    • これは、言葉通りエリアの拡大によるチャンスがないかです。それも売り先だけでなく、調達仕入も含めて検討し、可能性を探ります。
  10. 「Webを活用して、通販、直販、顧客との直接のネットワークを構築すれば、更にどんなビジネスチャンスの拡大が可能か」
    • これは、ほとんどのSWOT分析で検討して貰っています。このネット社会でそれを活用しないマーケティングは考えにくいからです。それも直販ビジネスを展開する事で、どんな可能性がでるかを議論します。これまでも、多くのSWOT分析検討会で、ここから新たな戦略が生まれました。
  11. 「顧客との共同開発、OEM(相手先ブランドによる製造)等、顧客との相互取り組みによるチャンスはどういう物が可能か」
    • 経営資源を自社だけで考えると非常に限定的になります。そこで顧客を巻き込んで、顧客の資源を使って開発やマーケティングする事を言います。ここから顧客の取り込みや、そこから生まれた商品の仕様を少し変えて、直販や他地域で販売拡大した事例も結構あります。
  12. 「ネーミング・パッケージ・容量・流通ルートなどを変える事で新たな顧客に取り込みや既存客のアイテムにつながる可能性はないか」
    • これもデフレ時代に良く聞いた事です。商品に自信がない中小企業が良くやる間違いは、「同じスペックで値下げする」ことです。これは最悪です。利益率が悪くなるだけでなく、正規価格で買っている顧客への裏切りであり、商品力を益々下げます。そこで、価格勝負をしないとダメな場合は、スペックを下げたり、別ブランドにしたりする方法で、新たな販路が拓けないかを検討します。
  13. 「既存商品の「周辺サービス」「周辺業務」「周辺商品」を受注しようとすれば、どういう商材が可能か」
    • この設問はほぼ必ず使います。マーケティングで一番手軽に、業績を上げるポイントは、既存客に別アイテムを売る事だからです。新規開拓は時間もコストも大変です。しかし、大きな問題なく付き合っている既存客なら、提案に乗りやすいと言えます。例えば、プリンターで言えば、本体自体は利益が出らず価格競争真っ只中です。しかし、消耗品であるインクカートリッジはしっかり利益が出る商材です。この周辺商品や周辺業務に実は、利益のネタが隠れていないかを議論するのがこの質問です。
  14. 「既存商品の「リペア・リサイクル・リフォームによる低価格の付加価値商品」を特定商材やサービスで実現する事で、販売拡大が可能になるとすればどんな事か」
    • この設問は、価格競争になっているコモディティ化した商材ではなく、そのメンテナンスや修理、リフォームの有償サービスで業績を上げられないかと言う議論です。これも多くの事業所で必ず聴く事ですが、この議論から新たなサービスや商材ができた事例は結構あります。
  15. 「技術革新や輸入品等で新たな代用品や代替品を仕入れることが出来れば、どういうチャンスが拡がるか」
    • これは、例えば、ジェネリック医薬品でも言える事です。正規品比べ低価格で同じ成分。国も医療費削減から推奨します。すると、ジェネリック医薬品を取り扱うビジネスが急拡大します。そういうように、これまで使っていた物、商品が別の変っても構わないとユーザーニーズになれば、そこのチャンスがあります。
  16. 「別ブランド等を、直販、通販、ネット販売等の直接販売で、どう具体的に展開すれば、新たなチャンスにつながるか」
    • これもある程度のブランドが定着している企業には、検討に値する設問です。若干の枝葉変更で、低価格の商品を別ブランドで、異なる流通チャネルに流す事です。しかし、新たなブランドは知名度がない事から、今までとは異なる仕掛けが必要になります。そこで、通販やネット直販等が考えられる訳です。
  17. 「今の商材の使われ方・用途を変える事で、新たな用途開発につながる「価値転換」があるとすればどういう事か」
    • 使い方を変えた提案で、今まで売れなかったものが急に売れる事があります。例えば、低価格の食器乾燥機なのに、実は模型の乾燥に使って売れたりと、メーカーが当初想定していない使い方で売れる事を言います。これはサービスでも価値転換はあるので、検討に値しますね。
  18. 同業者や競合他社をライバルとしてではなく、顧客・ネットワークと考えた場合、どういうビジネスがチャンスを広げるか
    • これはまさに発想の転換です。これまでライバルとばかり思っていた企業を、顧客や仲間にする為に何が必要かを考える事です。お互い同じ業界なら、困っている事は共通の筈ですから、例えば共同で何か立ち上げるとか、ライバルが高値で発注しているものを、自社の経営資源の有効活用で安値で提供するとか、です。これも、今まで結構提案してきました。
  19. 同業者の二番煎じでマネしたい戦略は何か?どうしてその戦略は有効だと思うか
    • 「柳の下にドジョウは2匹まで」と言う考え方によるものです。良いものは真似する、パクる。これはマーケティング戦略の原則です。肩肘張らず、マネして更に良い物を作る事が大事ですね。
  20. 同業他社独占のオンリー客を攻めて顧客開拓をするとしたら、どういう武器をぶつければ「チャンス」になるか
    • これも結構ある「機会」です。ライバルのオンリー客や高シェア客は、実は不満が多いという事実を直視して攻める事です。ライバルと顧客にどんな歴史的な関係があれ、必ず不満があります。そこに付け入る事は必須です。
  21. 既存客から更にビジネスチャンスをつかむ、アフターサービスや顧客管理・メンテナンスは、具体的にどういう強化を図れば既存客売上増が見込めるか。
    • 新たな顧客を作るにはコストもかかり、また利益度外視の受注も余儀なくされます。しかし既存客なら、そのコストはかかりませんし、既に口座を持っています。そこで、製品やサービスの販売後に、アフターサービスやメンテナンスを仕組み化するこを検討します。
  22. 今まで無償だったサービスの品質を上げて、どんな有償サービスを開発すれば顧客は費用が掛かってもそのサービスを求めると思うか
    • 業界の常識として無料だったサービスを、徹底的に品質を高めて、有料化しようというものです。サービス品質が高ければ、有料は可能です。
  23. 顧客がアウトソーシングしてでも手間を省きたい又は「どこかの業者がやってくれるなら丸投げしたい」と思っている事はどんな事か?
    • ビジネスチャンスは「顧客の困っている事」を解決する事です。顧客は自分にしかできない付加価値に取り組むためには、それ以外の事は誰かに丸投げしたいと考えます。更に、その付加価値のない業務の為に誰かを雇用しているとしたら、それも大きなムダなコストです。ここではコスト比較をする事で、顧客がアウトソーシングしたい事は何かを検討します。
  24. 仕入先や仕入れ商品を変更したり、切り替える事でどんな可能性があるか
    • 既存の販売ルートや販売権を持った仕入先、系列っぽい付き合いが邪魔になって自由な動きができないなら、仕入先を変える、購入品を検討する、内製化と外製化の見直しで供給できる業者も替える等が議論されます。
  25. 今の製品や商品を使って新しいビジネスや今までとは全く異なる販売先ができるとしたら、どんなところか
    • これは価値転換の考え方で、これまでの使い方や販売チャネルに固執せず、違う使い方で違う販売先を議論します。業者一辺倒の顧客から個人取引にする事も該当します。更に、第2ブランドでスペックを変えて、異なるチャネルへ販売する事も含みます。
  26. 円安で、輸入品の値上げが続くとしたら、どんな可能性が出てくるか
    • これは経済的な外部環境に影響を受ける事です。円安の現在なら輸入品から国産品にシフトしたり、海外工場から国内へ帰る事もあります。また、海外品しか仕入先がない場合は、仕様変更による国産品の検討も含みます。
  27. アベノミクスで既存インフラ整備や、成長戦略、金融緩和から、どんな可能性が出てくるか
    • アベノミクスの評価は分かれる所だが、今の政策から何はチャンスとして読み取れるかを検討する。東京五輪、老朽化インフラ、規制緩和などの動きからチャンスがあれば検討する。
  28. 少子高齢化の動きの中で、自社にとってビジネスチャンスはなにか
    • 少子高齢化で自社に関連あるビジネスが少子化で具体的なメリットは何か、高齢化での新たな事業展開は何が可能かを検討する。
  29. 中国、韓国との軋轢から東南アジアにビジネスチャンスを広げる動きの中でどんな可能性があるか
    • これは政治外交の動きがどうビジネスチャンスになるかを議論します。China+oneで中国市場を見直す動きや、逆に中国の一般市民が日本観光で爆買いしている実情からどうチャンスを見るか。更にASEAN等の動きをチャンスにするか。
  30. その他、少しでも外部環境から自社にメリットがある動きは何か
    • 上記以外のチャンスがあれば、議論します。

ここまで30項目の「タラレバのヒント」を整理しました。このヒアリングで、SWOT分析参加者が議論しやすくなった事は言うまでもありません。これが経験のノウハウです。この「タラレバヒント」には一般的なマーケティングのマクロ分析に使う3C分析、5force、PEST分析に一部も考慮し、中小企業用にアレンジしたポイントです。


SWOT分析を実際に使い方には、垂涎のノウハウだと思います。

 

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