後継者であれ、現経営者であれ、自社のこれからの方向性や独自戦略
が決まり、それに向けて邁進している時には、やる気が出るものです。
だから、後継者が承継されるときには、必ず「中期ビジョン」の作成
を提案しています。
〔1〕 中期ビジョンとはどんなもの?
元来「中期ビジョン」とは、3~5年先の自社のあるべき姿を明確に文書化したものです。
これは、理念や社是、経営基本方針とは異なり、具体的な戦略や企業体制がイメージでき
るものではなければなりません。
中期ビジョンに不可欠な要素としては
●ニッチ市場やニッチカテゴリー・・・どういう市場・分野を強化するか、シェアを取るか、
先鞭をつけるか
●重点商品政策・・・商品開発・開拓、商品の取捨選択、商品のブラッシュアップ、専門の
社内体制
●重点顧客政策・・・顧客開発・開拓、顧客管理、既存客フォロー、専門の社内体制
●ビジョンを反映した「中期利益計画(損益計画)」
●ビジョンを実行する為のロードマップ(工程表)
ビジョンが明確なら組織のまとまり感も高くなり、全従業員のベクトルも合わせやす
くなります。
ここで、大事な事は、「ビジョン」とは、「強化すべき事」と「強化しない事」をハッキ
リすることでもあります。
だから、理念的な内容や総論的な内容を「ビジョン」とは言えない訳です。
〔2〕 中期ビジョン(中期経営計画)に必要な着眼点
中期ビジョン(中期経営計画)は、「変革していくことが前提の経営計画」
です。
現状の延長線上に3年後、5年後があると確信している企業なら、「理念」や
「基本方針」だけでも構いません。
しかし、無透明な未来に対して、「勝てる戦略」を明確にすることが中期
ビジョンの目的でもあります。
そこで、概念的ですが、中期ビジョンに入れたい着眼点は、次の4つになります。
●「新たなに始める事」…新たな戦略、新たな商品、新たな顧客、新たな取り組
みを始めて、3年後の礎にすることが何らかの形で入っていなければなりません。
●「減らす・止める事」…選択と集中として、ニッチ市場やニッチカテゴリーに経営
資源を重点的に配分するなら、「既存に効果性のない取り組み、商品、顧客、市場」
のどれかを撤退縮小しなければなりません。ただ、これは内々に進める事が重要です。
●「変革・革新する事」…今行っている戦略、商品、顧客、市場について、何をどう変
えるか、姿形を変えるか、方法を変える、かです。
●「集中して徹底する事」…経営重点課題に絞って、集中的に行う事です。選択と集中
の結果、「〇〇と言えば、当社だね」と言われる位、特化する事を意味します。
これら4つの着眼点が、中期ビジョンの方針や戦略に入っているかを確認していただ
きたいと思います。
この中期ビジョンの内容を整理する為に、「SWOT分析」が不可欠だと信じています。
実際に、中期計画の作成コンサルティングをする際に、その理論的な根拠として先に
SWOT分析をしてきましたが、結構な確率で有効に機能してきました。
是非、チャレンジしてください。
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